業態変革実践!研修会
「業態変革実践!〜『モノつくりからサービス
つくり』の発想で顧客の問題解決のプロへ〜」

全日本印刷工業組合連合会 会長 水 上 光 啓 氏

 「業態変革実践!研修会」が、3月5日午後1時から札幌市中央区の札幌パークホテルで全日本印刷工業組合連合会の水上光啓会長を講師に招き、「業態変革実践!〜『モノつくりからサービスつくり』の発想で顧客の問題解決のプロへ〜」に70人が参加して開催された。
 以下、講演の内容の抜粋を紹介する。
(文責:編集部)


水上光啓氏
水上光啓氏
業界変革はスタートもゴールもない

 厳しい。残念であるが東京も厳しい。きっと何処の地方も厳しいと思う。地区協で全国をいくつか回ったが本当に厳しい。ただ私たちは厳しい厳しいと言うだけでは何も前へ向かって行かないと思う。大変丁重な紹介をもらったので私自身のことを敢えて一言だけ話をさせてもらうと、何で受賞したのだろう。何もしていない。当たり前のことを当たり前にこつこつと繰り返ししつこくやってきた。実はそれだけのような気がする。これからも社会は大変革をするが基本的な部分、企業経営は変わらないと思っている。これは基本に則って繰り返ししつこくやってもらいたいと思う。結論を先に言っておくと、業態変革の実践プランVer.1とVer.2である。Ver.1は一昨年に出た。Ver.2は昨年出た。是非この実践プランを読んでもらいたい。これが全て1つの結論であると思う。今日はこれを作った委員の一人が来ている。次期委員長になるのであまりこの本をベタ褒めするわけには行かないがバイブルだと私は思っている。是非読んでもらいたい。ゴールへの必ず大きなヒントになると思う。これを読んでもらうことが最良のことではないかと思っている。これで全ての話は終わりになるが、これだけではしょうがないので少し本文に入らせてもらいたいと思う。
 不況時に厳しい環境の中で何ができるか。私は組合員の皆さんに最近3つのことを言っている。まず社会が大変革をしているので一緒に業態変革をしよう。まさに業態変革これを読んでもらいたい。業態変革にスタートもゴールもない。永遠に気が付いたらやる。俺のところはやっている。それは良い。もっとスピードを上げてもらいたい。社会が高加速度的に変化する中で業態変革をすることを1番目。2番目はどっちの方に向いて行くか本当に分かり難い状況である。経営者はきちんと方向性を出してもらいたい。経営者も分からないので、社員の皆さんも分からないはずである。だからきちんとした方向性を出してもらいたい。会社の内部を固めよう。会社の内部をきちんと固めればこういう厳しい時代でも会社の内部から崩壊することはない。3番目は厳しい話であるが潰れない会社作りを絶対経営者としてやらなければならない。この3つについて話をさせてもらう。

社会が変化する中で業態変革

 1番目、社会が変革する中で業態変革をしよう。読んでもらえれば良い。確かにとんでもない時代になってしまった。どうも元へ戻りそうもない。戻ってもらいたい、あの日に帰りたいと堪えず思う。ところが残念ながら元に戻りそうもない。そうすると現状で何ができるかを考える。私たちは自分を船乗りに例えてみると分かり易い。中小企業というのは少しの風でも影響を受ける。今は暴風の中の影響を受けている。その中で方向性を見出すということは凄く大変だというのは皆さん同じである。これは印刷業界だけでない。日本全体がそうである。あのトヨタでさえ数年前までは2兆円の利益を出していた。それが目論見を誤ってしまった。我々だって誤っても平気である。ただ絶対に言えることはトヨタと我々の違いは身が軽いこと。だから直ぐ方向転換できる。これが業態変革の大前提である。直ぐ変えられる。朝令暮改という言葉がある。朝令暮改は皆さん今までは良い意味では使わなかった。私はそうではない。朝令朝改で良い。そのくらい経営者の皆様は社会の変化の中で、もの凄い加速度で変化して行くので、やってみて駄目なら元へ戻せばいい。正に料理と同じである。美味いか不味いか食べて見なければ分からない。兎に角、理屈ではなく行動するということで業態変革の下でやってみよう。経営者の皆様が一番分かるのだから取り敢えず食べてみる。社会は想像以上の変化が来てしまったような気がする。先日、経済産業省の私達の窓口の課長と話をしたら、今ハイブリットカーが問題になっているが、ハイブリットカーは暫定バージョンだと言う。ガソリンエンジンという大きな産業構造を突然無くするわけには行かない。しかし電池で動く自動車という新しい産業ができた。産業構造を両方残すためのハイブリットであると明確に言っていた。それをそのまま理解すれば5年後にはもしかしたら自動車は全てが電気自動車になるかもしれない。そうするとトヨタ自動車が自動車を作る必要があるのか。自動車は東芝や日立が作ればいいのではないか。そうすると自動車のディーラーも要らなくなるかもしれない。そういう時代になったら自動車はホームセンターに行って買ってくればいい時代になる。そのくらい世の中は変化していると私は思う。産業分類で時計が無くなった。かつては日本の輸出の代名詞であった。世界に全く敵わなくなり雑貨の部類に入ってきた。そのくらい変化をしているから間違っても自動車が雑貨にならないように、勿論私達も頑張る。印刷が雑貨になってしまったら大変なことだと思う。是非その辺は心して望んで行かなければならないと思っている。

進むべき道を明確に

 2番目に自社の進むべき道を明確にしよう。この厳しい社会の中では人心が乱れやすいのも事実だと思う。だからこそ経営者が自社の方向性を明確に示す必要がある。そして会社の内部を固めなくてはならない。経営者の役目は堪えず社員に向かってメッセージを流し続けることが役目だと思っている。日本には昔から良い言葉がある。以心伝心という言葉がある。これは日本人の一番良いところで正に目と目でお互いを理解し合える。心と心で通じ合える時代であったと私は思う。今、世の中が大きく変わる中で今の若い世代にはきちんと言葉で説明をしなければならない。どうしてこんなこと説明しなければならないと皆さんは思うかもしれないが、それは時代が変わっているのだから仕方がない。新しい世代、新人類、新人類ジュニアというそういう世代には新しいメッセージ方法で伝えて行かなくてはならない。是非経営者の皆さんには社員が悩んでいる中で、自社の方向をこうだとすることが大きな役割である。こういう厳しい環境の中では自分の会社は何か問い直してみると良いと思う。経営者は一人では仕事ができない。トップマネジメントはチームマネジメントだと思っている。そのために社員と共有化をしなければならない。一人で頑張ろうとしても頑張れる限度がある。共有化するためにはコミュニケーションである。知らせて、知らせて、知らせる。アメリカのPIAのトップの1つの言葉は知らせて、知らせて、知らせてである。経営者は社員に現状を話して、話して、話し続けることが役目だと思う。会社とは経営者と社員がお互いに正面を向いて約束をして実行する。この実行することが重要だと思う。そういう会社づくりをして行かなければならない。そのためには知らせて、知らせて、知らせることが一番大切なことではないかと思う。経営者は社員に向かって自社の方向性をきちんと明示すること。当たり前かも知れないが経営者は経営者にしかできない仕事をして働き者でなくてはならない。社員も全く同じである。経営者の前で無駄な言い訳をやめて、自発的に自分の目標にチャレンジをすること。これが社員の役割である。社員も社員にしかできない仕事をして働き者でなくてはならない。そのためには経営者と社員の間にこの厳しい環境の中ではもっともっとお互いに太い信頼関係を作らなければならないのではないか。どうやったら太い信頼関係ができるのか。まさに第一が知らせて、知らせて、知らせてだと思う。これは経営者の責任である。いかに太いパイプを作るかは経営者がやるべきことではないかと思っている。勿論、大きい意味では教育であるが、教育というのは決してお金を掛けることではない。本来、教育は自社の中で簡潔すればベストだと思っている。

潰れない会社作り

 3つ目は、短期的に潰れない会社を作ること。会社というのは悩ましい。会社の中には機会費用という無駄な費用を皆さんは捉えている。たくさん隠れている。この機会費用は癖の悪いことに固定費の中に隠れているから困る。会社を経営していて固定費が無く変動費だけであったらどんなに楽かと思う。変動費印刷株式会社があれば売上げが減っても全部が変動費になっていればこの比率で減るのだから会社は倒産するはずがない。そんなことはあり得ない。固定費が非常に大きい。まさに企業経営というのは固定費のマネジメントだと置き換えても良いのではないか。その固定費の中に何があるか。いうまでもなく人件費。もう1つ人に係わる費用と書いて人係費だと思っている。勿論この厳しい時代に真剣に効率を考えなければならない。特に人係費の効率を考えてもらいたい。各社大変な努力をしていると思うが、まだまだ効率を上げられるのではないかと思っている。私達印刷会社は、工場はいつも生産性を考えてわりと数値を捉えている。1時間あたりの生産額であったり、前年同月比であったり、工場の数値化は以外とできている。しかし、営業、制作、総務は、私の会社も同じである。必ずしもベストではない。まだまだ効率化を図れるのではないか。在庫の問題である。皆さんは現金であると凄く大切にする。在庫は現金である。さらに置いておくと金利が付くはずであるが、在庫になると忘れてしまう。同じように印刷のヤレ紙を考えてもらいたい。これが予想外に大きいのではないか。石川県のある経営者と話をしている時にこんな話になった。水上印刷の紙の実使用率はどのくらいかと聞かれた。私は答えられなかった。全印工連の一般論でいうと大体、売上の25%が材料費、材料費のうちの8割が紙代、そうすると売上げの20%が紙代というのが昨年7月に調査した経営動向実態調査の数値である。仮に1億円の売上げの会社だと紙代が2千万円になる。その実使用率はどのくらいかを我が社の例で話すと幾つかのデータから平均値を取ると実使用率は80%であった。何人かの友人と話をしたら一般的にはそのくらいではないだろうかということであった。ということは紙代の20%は捨てている。1億円の会社で20%だと2千万円、2千万円のうちの20%は4百万円を捨てている。勿体無い。この無駄も止めないか。20%を何とか半分にして実使用率を90%に持っていけば2百万円出て来る。1億で紙の不良を10%減らしただけで2%の利益が出る計算になる。決して数字のマジックではなく、まだまだ印刷会社はそのように効率を上げられる。各社の中で効率を上げられると思う。どうしても今直ぐやりたいのは収益拡大の冊子。この冊子は300円である。この300円の本の中にありとあらゆるコストダウンの方法が書いてある。さらにコストダウンをするには何をすれば良いかの方法論も書いてある。そのやり方も書いてある。今直ぐやるのであればこれを見て何が進んで、何が遅れているかを是非判断されたら良いと思う。まだまだ自社の中でも効率が良くできると思う。自社のそれぞれの部分、全体における効率ということをもう一度考えてもらいたいと思う。そして1年にどんな会社でも決算があるので改めて決算の前に来期の目標を立てるにあたって経営者は何をして何を残すのか真剣に考えてもらいたい。やはりここでも効率というものがある。是非効率というものを考えると、仮に売上げを減らしても会社全体の効率を考えて利益率が上がる可能性があると思っている。私ども経営者は皆同じであるから、今無駄な費用を削減するために是非機会費用削減を真剣に捉えてもらいたいと思う。大変な変化の中になってしまった。どう考えても従来と同じビジネスモデルが通用しなくなって来たというのは東京でも北海道でも同じだと思う。従来のビジネスモデルが通用しなくなっている。そうすると新しいビジネスモデルに我々はチャレンジしなければならない。そのためには社会の変化をきちんと読まなくてはならない。

ワンストップサービス

 先ほど自動車産業の話をしたが、流通業はどうなるだろうか。これも大きな変化の中にあると思う。繁華街にあった大きな百貨店、それが駅前の大規模なスーパーマーケットに変わった。郊外に大駐車場を持ったショッピングセンターに変わり、さらにコンビニに変化をして行く。全て共通したキーワードがあると思う。ワンストップショッピングである。我々はワンストップサービスと言っているが同じだと思う。お客様が自分にとって一番便利なところに行くということでワンストップショッピングになっている。お客様が物を買う時の動機を3つ考えてみると、最終的には印刷も同じだと思うが1つの方向が見えるような気がする。物を買う時の不安は3つあると思う。1つはお金、いくらか。2番目は買い物をする時間。3つ目は買い物をして失敗する不安。繰り返すが印刷も同じだと思う。先ず1番目のお金、これをネットで買うことを考えたらどうか。皆さんはインターネットで物を買っているか。私はネットがあまり得意ではないがネットの買い物は好きである。何故か。この3つが全てクリア出来てしまうからである。先ずお金、ネットで買い物をすれば最安値を見つけられる。一番安い買い物ができたと安心して買い物ができる。2番目の時間。これは買い物に行かなくても良いという全く時間が掛からない便利さ。昼休みにちょこちょこっとパソコンを叩いて買い物ができる。時間も節約できる。3番目の失敗に対する不安。これも結構ある。この買い物失敗したということが皆さんにもあるのではないか。ネットではブログがあってそのものについていろいろな評価を書いてくれている。それを参考にすれば失敗する不安もない。この3つが全てクリアできるのはインターネットのような気がする。私たちはそういう変化の中で私達の印刷産業を進めて行かなくてはならない。勿論これだけではない。一方においては逆にそこで楽しめるようなショッピングセンター、ディズニーランドのように行って1日を過ごせるようなショッピングセンターも出てきて大きく2極化をしていると思う。今、百貨店が厳しいのは間にあって中途半端だから厳しいのだと思う。どっちかに行かなくてはならない。特化をして行くということが大きなキーワードになると思う。社会の変化の中で自社のポジションを何処に持って行くのかを考えなくてならないし、自社のポジションを考える上で是非業態変革実践ガイドブック読んでもらいたい。大きなヒントになると思っている。さらに環境要因という変化も避けて通れない。従来はそんなことを考えなくても良かった。お客様に教えてもらう時代ではなく、逆に私達がお客様に提案をしなくてはならない時代だと思う。そのためには一緒に勉強をしよう。もっとある。これは一番容易い。メディアユニバーサルデザイン。我々はMUDと言っているが私たちは色のプロである。文字のプロである。従来はハンデキャップを負った人が私達社会に合わせてくれた。それは違う。今の私達の役目は私達がハンデキャップを負った人達に合わせる時代ではないか。これはなかなか儲かる商売ではないかも知れないが、お客様に信頼を与える商売になると思う。環境であったりMUDであったりコンプライアンスであったり、従来私たちはそこを避けてとは言わないが通らなくて良かった関所がたくさん出てきてしまい、それを1つ1つやらなくてはならない。それをやらなければ生き残れない。全印工連はこれからも木目細かい情報提供を続けて行きたいと思っている。

印刷の第1の波

 印刷は今大きな2つ目の波を被っているような気がしてならない。2つ目の波を被るということは当然第1の波があった。言うまでもなくフロント部分のデジタル化だと思う。結論はフロント部分のデジタル化の対応に失敗して私たちは大きな付加価値を失ってしまった。日本印刷技術協会の集計では2兆円くらい付加価値を失ったと言われている。第1の波を検証して第2の波を理解するために木目細かく話したいと思う。経営学者にドラッカーという人がいたが、こんなことを言っていた。人間の肉体労働で重いものを持つ差はどのくらいあるだろうか。力持ちと力持ちでなくても精々2倍くらいである。本当の力持ちでも3倍の物は持てるだろうか。人間の肉体の差はそのくらいよりない。ところが知識労働を考えた時には圧倒的な差になる。例えば時計のキャッチコピーを考える。知識能力のある人は1時間で10も20もキャッチコピーが出て来ると思う。能力のない人間は1週間掛かっても1つかも知れない。知識労働は百倍どころでなく数百倍に開く。我々印刷に当てはめてみると付加価値を生むために大規模な工場を用意しなければならない。しかし、知識労働で飯を食べられる人間はパソコン1台と机1つで同じような付加価値を得られる。このような社会になって来ていると思う。これを印刷に近づけてみるとカメラマンである。昔は言い訳が効いた。社会が認めてくれた。時計を例にすると、時計を撮るためのスタジオを借りた、フイルムを何本使った、ポラロイドを何本使った、こういうものを全部積み上げて料金を出した。我々もそれを認められた。お客様も認めてくれた。だからそういうコスト体系ができたが、今はお客様がそれを認めてくれない。デジタル化時代の撮影は一発で良い。だから知識のある人は得である。経験があるからこれをどういう角度から撮ったら良いか一発でできる。知識のない人間は何回も撮るが1回の時間のお金しかもらえない。我々印刷はフロント部分の付加価値を失ったということは、私たちは写植で生きてきた。今の若い世代は写植を知らないし、フイルムも知らない時代である。写植は大変であった。ロットリングで線を引いた。覚えているのは円を書いて周りに文字を嵌め込む時に、私は迂闊に全部1文字ずつ切ってしまった。下の方を残しておけば良かったものを切ってしまったのでピンセットで1文字ずつ貼り付けて大変な手間が掛かったことを覚えている。これをお客様は手間として認めてくれた。ところがデジタル化した時に失敗した。お客様も画面上で文字も画像もレイアウトも色分けも出来てしまうので何でもできると思い込んだ。私達もそれを思い込ませてしまった。実際にはどうか。お客様から来るデジタルデータはそのまま印刷に使えるか。私どもの会社の例ではお客様からくるデータは99%社内で印刷が出来るように直さないと使えないそうである。それを両方が安請け合いしてしまったので大変なことになった。これが第1の波だと思う。

印刷の第2の波

 第2の波は今まさに非常に厳しく言えばITという大きな波の中で印刷産業そのものが一歩間違うと価値を失うくらい社会が大きな変化の中にあると思う。決して脅かすつもりはない。私も同じ立場なので印刷は残ってほしいがそのくらい大きな変革がきている。従来の価値観が通じなくなってきている。従来の価値観とは印刷は実用価値。これに則って仕事をしてきた。勿論今後ともこれは重要である。実用価値とは早いか遅いか、高いか安いかである。そのために印刷をいろいろ作ってきたが、インターネットと比べて見てほしい。早いか遅いかはネットの方が早いのが当然である。高いか安いか相手は現状では限りなくただである。ただのものと同じ土俵で戦って勝てるだろうか。無理である。土俵を分けるしかない。そんなことで全印工連では感性価値。非常に分かり難いかも知れないが印刷会社はもともと感性価値を大切にしている。例えばパッケージ、チョコレートの箱を印刷する。少しでも美味しく見えるように印刷をする努力をしてきた。これが感性価値だと思う。さらにそれを一歩ずつ深めて行くことが感性価値。ただ実用価値だけを追ったのでは大変厳しいことになるだろうと思っている。感性価値を実行するためにワンストップサービスを実行してもらいたいと思う。再三言うようにワンストップサービスはそんなに難しいことはない。お客様の立場に立って考えればワンストップサービスは、先程の百貨店ではないが当たり前だと思う。印刷は印刷物の工程の中の1つである。お客様は企画をしてデザインをしてレイアウトをして版を作って印刷をして製本して加工して全国へ配送して、さらに最近はデータまで求められる。こんな長い工程をお客様はやっているのだから、我々はその中の一部でも良い、印刷だけでなくて分かる工程を手伝って行こうというのがワンストップサービスである。印刷業は製造業であることは当然である。当然は置いておいてサービス業であるということを真剣に考えようではないか。明らかに社会全体がサービス業化している中で、私たちはそんなに分かっているのであれば実行すれば勝パターンになると思っている。私はサービスの定義は面倒くさいことをやることだと思っている。当たり前である。人が面倒くさいことをやるからそこでビジネスになる。印刷は大変な手間が掛かっている。印刷をすることだけでなく1つ1つの工程を繋いで全部やるということはもの凄いサービスを提供しているわけである。ワンストップサービスをやっている。そうしたサービスのサービスを深めてもらいたい。もっともっと深めればチャンスはある。まだまだこれからだという人はサービスの輪を広げる。そのサービスは繰り返すがキーワードは面倒くさいだと思ってもらいたい。面倒くさいことをやる。それは社会全体が面倒くさい社会になってしまった。特に若い世代は本を読まない。雑誌を読まない。映画を見ない。海外旅行も行かない。何故、面倒くさいからである。面倒くさいから本を読まない、面倒くさいから雑誌を読まない、面倒くさいから映画を見ない、面倒くさいから海外旅行に行かない、極め付きは女性も口説かない。私達が若いころは彼女を作ろうと真剣に口説く努力をしなかったか。今の社会はそれを面倒くさいという。そういう世代になってしまっている社会を認識したらそれに対応すれば良いではないか。面倒くさいことを手伝えば良い。女性を口説く代行業があったら良いがなかなかそれは出来ないかも知れない。是非面倒くさいことをやってほしい。社会全体がそれに対応するために一番面倒くさいその業種は宅急便だと思う。便利である、面倒くさいことを根本的に代行しているし、コンビニも面倒くさいことを代行しているかもしれない。さらにパソコンを1台置いて自分の部屋で全てのものが注文できてしまう。これも面倒くさいこと対する対応かもしれない。女性を口説くのが大好きなイタリア人、フランス人、最近は面倒くさいから口説かないという。アニメーションを見ていれば良い。そういう社会の変化の中で私達も面倒くさいことに対応するということが大きな印刷の切り口ではないか。サービスとは以外とそんなところにあると思っている。

印刷の将来

 ここで話題を変える。印刷は一体将来はどうなるのだろうか。非常に悩ましい。いろいろな変動要因があるが、3つのことを考えて印刷の将来を見てみたいと思う。ネットの出現、情報洪水、成熟化社会をキーワードにして印刷がどのように変化をして行くのか。ネットの出現によって大きな変化としてトップダウンの社会からボトムアップの社会になることだと思う。2番目に情報洪水。これも凄い。この10年人口は減っているのに私どもに提供される情報量は500倍くらいになったと言われている。そうすると良い情報も悪い情報も区別出来なくなってしまう。一緒に捨て去られてしまう。良い情報と悪い情報はきちんと区別しなければならない。3つ目が成熟化社会。我々は非常に便利な成熟化社会にいる。何でもある。そうすると殆ど区別できない。自動車は何処の会社でも区別できない。突然であるが歯ブラシも区別できない。どっちでも良い、そんなに変わらないというのが成熟化社会。疑い深い消費者になっていると思う。ある意味では賢い消費者になっていると思う。社会がそのように変化している。若い世代はネットサーフィンという言葉もあるがネットの間を行き来している。困ってしまうのが若い世代は何が一番信頼できるメディアなのか。メディアとして捉えてみると若い世代は友達、好きな人、信頼できる人、人が一番のメディアだという。これは困ってしまう。インターネットでブロガーが何かを書いている。あの人が書いているのであれば買ってみようと物を買ってしまう。昔はトップダウンと言ったのはテレビで有名なあの人が良いと言うから買った、あの人がテレビ言っているのだから買わない。名も知れないブロガーが書いていると買う。こればボトムアップ社会。このくらい変化している。この結果、家庭に帰った自分を想像してみてもらいたい。従来は4大マスメディアと言って4つしか無かったはずである。テレビ、新聞、雑誌、ラジオ。今、家に帰ると4大マスメディアはあるがパソコンに対する接触時間が、この中にもテレビよりも長い人がいると思う。ipodもやりたい、メールもやりたい、DVDも見たい、ゲームボーイもやりたい。もっとやりたいこともたくさんある。メディアが多様化してしまった。確かにメディアは多様化し、1つ1つの接触時間は短くなったが敢えて無くなるわけではないと思っている。重要なことはそれぞれのメディアが多様化した中できちんと棲み分けができる時代が来ると信じている。その中で印刷は先ほども言ったとおり従来の実用価値だけを追い掛けていたのでは難しい。新しい価値観を一緒に考えて行こうではないか。全印工連としても直ぐやる業態変革と業態変革をした後どうするのかのために印刷産業戦略デザイン室が立ち上っている。その次の印刷、企業というのは一番のキーワードは永続性である。ここは何といっても大志を抱けと言われた土地である。皆さん大きい志を持って行こうではないか。

印刷業はサービス業

 サービスという話をこだわってさせてもらいたいと思う。印刷業は繰り返すが製造業である。社会がサービス業化を求めている。その中で印刷業を思い切ってサービス業として定義したらどうなるか。これは真剣に考えなくてはならないことだと思っている。モノづくりからサービスづくりへと考えたらどうなるか。モノづくりは工場があればできる。私達が一番得意であった。サービスというのはお客様がその望みを我々が解決することになるから人が介在しなければサービスはできない。ともすると私達は自分で弁解をしてきた。印刷業は特殊だから。そんなことは無い。どんな産業でもどんな業種でも、それぞれの業種には特有の言葉なり特有な為来り特有なやり方があって、決して印刷業が特別な産業と考えてはならないと思っている。思い切って印刷業をサービス業として定義してみたらどうなるか、サービス業というのはお客様の問題を解決することと捉えるならば営業マンは顧客の問題を解決する人になるはずである。そうするとこれから少し社員教育の方向も変えて行かなくてはならないと思わないか。今までそれぞれ教育は一生懸命やってきた。今までやってきた教育はどうか。印刷のいろいろな進め方、工程管理。これは一生懸命教えてきた。大いにこれも大切だと思う。それだけではなく一番大切な印刷物の役割を考えたことがあるだろうか。印刷物がお客様のところに納品されて、納品された後どのように活用されているのかを考えたことがあるか。顧客第一主義。言葉は格好が良い。本気でそれをやるならば自分の作ることだけでなく、お客様は考えて作って使うという幅広い工程をお手伝いする。それをきちんと考えるのが我々の生き残って行く道ではないかと思う。そうすると自ずと教育も変えて行かなければならない。今まで間違っていたとは思わない。社会が変わる中で教育も変えて行かなければならない。一番のキーワードは何か。顧客第一主義ということを考えれば、お客さんが何を望んでいるのかを聞き出すことである。ヒアリングというか、大きく言えばコミュニケーション能力を学ぶことではないかと思っている。コミュニケーション能力には2つの要素がある。言うまでもなく知識と知恵の2つである。知識は勉強すればできる。知恵は体験的学習が必要だという。それを節約するのが業態変革実践プランの冊子だと思う。体験的学習を節約するために体験的な実践論が書いてある。社会が大きく変化する中で印刷業も変わる。従来にないコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、もっと大きく考えるとお客様が考えるビジネスを構築する。ロジカルシンキングをやって行かなければならない。大変だがやり続けて行かなくてはならない。一緒にやろうではないか。社会は止まらない。この変化に我々が対応するためには、設備だけで差別化するのは難しいのは十二分に分かっていると思う。勿論、設備は最大限に活用しよう。しかし、一方において印刷業の差別化は何でできるか。最終的には人に行き着くのではないかと思っている。良く言われるが印刷の営業マンは自社の設備の説明は上手い。確かに印刷の営業マンは上手い。しかし、社会から見て自社の設備の説明が上手い人が営業マンであるのか。単なる製品説明員ではないかと言われることもある。製品説明員ではお客様にとっては足りない。製品、自社の設備はマニュアル化すれば分かる。製品のプロ、商品のプロではなく、営業マンをビジネスのプロに変えて行かなくてはならないのではないか。真剣に考えてもらいたい。こんな言葉もある。あなたは企画デザインする人、私は印刷する人。こんな法律は何処にもない、こんな決め事は何処にもないはずなのにいつの間にか私達はそんな線引きをしてしまわなかったか。どうしてそんな線引きがあったのか。いつも社長も営業も工場も作ることに熱中してしまった。今までは楽しかった。本当にお客様のサービスを考えるならば指示どおり指定どおりではなくて、一歩踏み込んでお客様のニーズどおりと置き換えても良いと思う。そのように私達が対応して行かなければならない。この辺の認識を変えて行かなければならないと思う。印刷会社として印刷物を作るのは当たり前のことである。お客様は印刷物の効果を求めているのも当たり前のことである。今までは私達は一生懸命綺麗な印刷、納期を何とか縮めようと努力をした。しかし、ただ綺麗な印刷をしてただ納期を縮めるだけでは、お客様の価格の餌食になるだけである。顧客第一主義ということを考えるならば何時、誰に、何を、どのようにと、きちんと考えること、その印刷物をきちんと理解すること、理解してお客様にただ紙を提供するのではなく、その上に理解という一層を載せて我々は提供するのが大きな役目ではないか。我々はこれから大変厳しい環境の中を乗り切って行かなくてはならない。全員、力を合わせて乗り切って行こうではないか。この社会の中で何ができるのか。経営者としての幾つかの役割がある。1番に会社がやらなければならないことは変化の中で業態変革をして会社の方向性を示して、2番目は社員を内部から固める、3番目は無駄な費用を削減して短期的には潰れない、長期的には利益を出して行かなければならない。そのためにやることはいくつかあると思う。先ず集中と選択をすること。自社の得意技は必ずある。自社の得意技を認識してそれを活かせば結構印刷会社は強い。今まで残ってきているのだからこれからも残れるはずである。次は深耕営業だと思う。新規開拓と深耕営業をするのであれば深耕営業の方が数倍その手間は楽なはずである。既存のクライアントの中でお客様のニーズに対応して行く。正にワンストップサービスを進めるということになる。3つ目に逆転の発想。従来少子高齢化は悪い方向に捉えられていた。逆に考えれば高齢者が多いのだからそこに新たなビジネスチャンスがあるはずである。このようにプラスに考えるのが逆転の発想である。4番目は我々はベンチャーである。堪えず新しいチャレンジができる。美味しいものを食べてもみないうちにグタグタ言うよりも食べてみてやってみれば良い。やって駄目であれば新しい方向へ行ける。それが我々中小企業の一番強いところだと思う。どうかこの厳しい中でいつでも経営者の皆さんはファイティングポーズを持って前に向かって進んで行こうではないか。

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