印刷燦燦
拝啓 タコ社長様

理事 本田 公一
勇昇印刷有限会社代表取締役

 年齢を問わず、現代人の知的を含めて人格的成熟度は昔の人の70×程度だと、新聞のコラムに書いていました。
 妙に納得してしまいます。思うように経営がうまくできないのは、実齢60歳になろうとしている私は、実は42歳程度の経験しか積んでいないのか? 裏をかえせば、まだ発達する余地が無限大にあるということなのか。それとも“この発達の遅さ”は絶望的なのか?悩みの多い毎日です。
 
 ところでタコ社長様は元気ですか。
 フーテンの寅さんが逝ってしまって、喧嘩をする相手がいなくてボーッとしている毎日ではないでしょうか。
 手差しの活版機から自動活版機そしてオフセット印刷機(単色)へと設備が変わっていったのは映画のなかで分かっていますが、その後商売はどうですか。メーカーの誘いにのって4色機を導入したんじゃないでしょうね。そのうえパソコンのパの字も知らないのにマックを買って、さらにセッターまで手を出したのかな?
 売上げが半分近くまで落ち込んでいる昨今、借金の返済に追われ、手形の期日近くになると魘される毎日ではないでしょうか。
 それとも印刷組合に加入して、水上会長のアジテートな講演に涙し、明るい未来を夢みて業態変革の猛勉強中でしょうか。
 それから、印刷工場の2階の住み込み(死語?)の従業員の皆さんは元気でしょうか。とらやの裏庭から寅さんが『ロードーシャ諸君!』と励ましの言葉を掛けていたのが懐かしいです。「労働者」という言葉の持つ重みもずいぶん変わって来ているように感じます。
 まさか、経営の苦しさから全員解雇して派遣社員というのはないでしょうね。労働者派遣法と障害者自立支援法は天下の悪法です。
 3月は決算です。タコ社長様は相変わらず税務署にはみすぼらしい格好で行くのですか。今の税務署員にはかえって逆効果らしいです。
 80歳に近い社長には後継者も頭の痛い問題ですね。組合から合併とか廃業に関するアンケートが来ていました。そういう時代なんですね。
 お体に気をつけて。
 また手紙(メールではない!)を書きます。

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