平成22年 新春を寿ぐ
北海道印刷工業組合
理事長
岡部 康彦
 明けましておめでとうございます。
 皆様にはご壮健で新しい年をお迎えのことと存じ心からお慶び申し上げます。
 昨年中は、組合事業推進に格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
 昨年の北海道経済は、道内最大手百貨店の丸井今井が民事再生申請という負の話題に始まり、建設不況で大手企業の倒産、北洋銀行への公的資金投入などと続き、依然として景気回復が感じられないままに終始したような気がしています。
 道内印刷業界においては、主材料の用紙の出荷実績からも分かるように需要の落ち込みに一層拍車がかかり、これまでに増して厳しい経営環境にありました。
 このような厳しい経営環境にありましたが、皆様の弛まぬ経営努力により企業の維持・発展が図られ、新しい年を迎えられましたことはご同慶の至りです。
 昨年は、道内印刷企業若手経営者をパネラーとしたワンストップサービスの実現に向けたパネルディスカッション、お客様に信頼される技術開発に取り組んでいる道内印刷企業の担当者とデザイナーによる感性価値創造の実践に向けたフォーラム、パリとニューヨークで開催された感性価値を印刷物に結びつけるための企画展「NIPPON creative printing show vol.1」の北海道開催など、これまでと違う新しいスタイルの事業を展開しました。
 これらは、次代を担う道内青年印刷人の発想と行動によって実現したものであり、これからの印刷業界を思考するうえで頼もしく大いなる夢と希望が見い出せた感があります。さらなる活躍を期待するところです。
 本年も北海道印刷工業組合は、これまで培って来ました実績を踏まえ、組織の拡大、広報活動の強化、明日に向かって「魅力ある業界づくり運動」の展開、「印刷の月」行事の取り組み、共済事業への加入促進を柱とした各種事業を積極的かつ強力に展開して参ります。
 加えて、平成23年にオホーツク支部の主管で開催する第29回北海道情報・印刷文化典の開催準備を進めて参ります。
 また、組織検討特別委員会で相当の時間を費やし検討を重ねて来ました組合組織のあり方の検討結果を受け、その成果を踏まえ、今までに増して組合員のための組合としてさらなる歩みを始めます。
 印刷を中心とした周辺領域への市場拡大と顧客への課題解決を提供するワンストップサービスを具現化し、収益拡大に結び付けて行くことを目的に策定された「業態変革実践プラン」は推進段階から実践段階に入っています。
 一人で悩んでいても問題はなかなか解決できませんが、それぞれの企業に合ったワンストップサービス具現化への解説書や指南書などが数多く発行されていますので、自社の経営計画・経営改善等に向けた「虎の巻」として活用され、新たな活路を開かれますことを念願して止みません。
 最後になりましたが、関係諸官庁、各機関・団体をはじめ関連業界ならびに組合員の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、新しい年が皆様にとりましてより佳い年となりますようご祈念申し上げます。

年 頭 所 感
経済産業省
北海道経済産業局長

柚原 一夫
 平成22年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 昨年の北海道経済を振り返ると、一昨年秋の経済危機の影響により春頃まで経済活動の急速な減退が続きましたが、夏以降、国内外の経済対策の効果もあり、生産や消費の一部に持ち直しの動きが見られます。しかし、景気回復の足取りは依然として弱く、雇用情勢の一層の悪化、デフレや円高の影響等が懸念されています。
 平成22年においては、まず、景気回復を一層確実なものとすることが喫緊の課題です。このため、政府は、昨年12月に「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を決定し、その実施に必要な措置を平成21年度第2次補正予算案に盛り込みました。
 当省においても、採用意欲のある中小企業等と新卒者とのマッチング強化等を始めとする雇用対策、エコポイント・エコカー補助の延長・拡充や環境技術開発の推進等の環境対策、景気対応緊急保証制度の創設や、セーフティネット貸付等の延長・拡充などの中小企業対策について、実施できるものから全力で取り組んでまいります。
 これらに加え、中長期的な観点から、北海道経済が成長し、自立していくための取組を進めることが重要です。国内の人口減少・高齢化の進行に加え、東アジアを始め新興国の成長や低炭素社会への移行といった世界経済の構造変化等も踏まえて、地域の活力を維持・拡大していく方策を検討し、実施することが必要であり、当局としては、次の諸点に重点を置いて進めてまいります。
 第1に、広大な土地、豊富な食材等北海道の強みを活かした食関連産業が、地域の成長を牽引する産業として大いに活性化するよう、関係機関と連携して「食のクラスターの強化」に取り組みます。このため、農商工連携に加え、産学官連携、知的財産、エネルギー等の諸施策を活用します。また、世界に通用する産業クラスターが形成されてきたバイオ・IT産業について、引き続き支援します。さらに、観光、映像コンテンツ、寒冷地向け住宅等の分野についても、北海道の強みが更に発揮できるよう支援を行います。
 第2に、低炭素社会実現に向けたフロントランナーを目指します。北海道の自然条件を活かし、風力・太陽光・雪氷冷熱・バイオマス等の新エネルギーや、エネルギーハブ等ネットワークの活用を通じて北海道に適した省エネルギーの導入を進めるとともに、天然ガスの導入促進や原子力利用の着実な推進等を通じ、資源エネルギーの安定供給を果たしつつ低炭素化を実現していきます。
 第3に、地域経済を支えるものづくり産業については、企業立地促進法による産業集積の促進、イノベーションを生み出す産学官連携・研究開発の推進、人材育成、知的財産活用等を通じ総合的に支援するとともに、「グリーン化」という世界の潮流を踏まえた新分野進出を推進します。
 第4に、地域の経済・社会的課題を解決する観点から、中心市街地・商店街の活性化等まちづくりを支援するとともに、地域おこし、介護・子育て等の課題に対し、社会的企業(ソーシャル・ビジネス)等の形で地域住民の方々が協力して取り組む環境整備を行います。これに加え、安全・安心な社会の構築を目指し、製品安全対策や悪質商法対策など消費者利益の増進にも努めてまいります。
 当局といたしましては、現場主義の原則に立ち、皆様のご意見を伺い、地域経済の実態を十分踏まえた上で、スピーディにこれらの施策を展開し、地域経済の自立的発展に貢献してまいります。本年におきましても、関係各位の一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 本年は、我が国がAPEC(アジア太平洋経済協力会議)議長国として、6月に札幌で貿易担当大臣会合を開催する予定です。これを機会に、アジア太平洋地域の諸国・地域との経済交流を深めることを期待しています。
 本年が皆様にとって実りの多い飛躍の年となりますよう、心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

年 頭 所 感
北海道知事
高橋はるみ
 新年明けましておめでとうございます。道民の皆様とともに新しい年を迎えることができましたことを、大変うれしく思っております。
 私が再び道政を担わせていただいてから、3度目の新春を迎えました。皆様には、平素から道政各般にわたり、深いご理解と温かいご支援を賜り、心から感謝を申し上げます。
 さて、昨年を振り返りますと、国政では、8月の総選挙により政権が交代し、本道選出の鳩山総理の誕生、新内閣の発足という、大きな出来事がありました。
 本道では、一昨年の北海道洞爺湖サミットに続いて「太平洋・島サミット」が開催されたほか、「ねんりんピック北海道・札幌2009」では、全国のシニアの方々がスポーツや文化に技を競われ、地域と世代を越えた交流の輪が広がりました。道民の皆様にご協力をいただき、多くの方々を温かくお迎えできたことに、改めて感謝を申し上げます。
 道政においては、世界同時不況の影響などによる厳しい経済情勢への対応が大きな課題になったほか、新型インフルエンザの流行や冷湿害等による農業被害の発生といった課題にも直面した一年でした。景気や雇用の回復に向けて、切れ目のない対策を講じるとともに、次々と生じた課題に、関係者の方々とともに懸命に対処するなど、道民の皆様の暮らしを守るため、全力を傾けてまいりました。
 景気後退の影響を受けた一年ではありましたが、一方で、全国で開催された北海道物産展の盛況や、道東地域を舞台にした中国映画の大ヒットと中国人観光客の増加など、食や観光をはじめ、北海道ブランドの国内外への着実な浸透がみられました。また、農商工連携や新エネルギーの導入の取組が各地に広がるなど、未来への展望を開く、力強い動きも数多くありました。
 今、我が国は歴史的な転換期を迎えています。国政においては、政治主導や地域主権国家への転換を目指した大きな変化が生じ、また、国、地方を通じて持続可能な財政構造の確立は、待ったなしの状況になっています。一方、世界に目を向けると、中国やASEAN諸国など、経済成長を続けるアジア地域との結びつきの一層の強化や、地球規模での課題である低炭素型社会への転換が求められています。
 こうした転換期は、新しい飛躍へのチャンスであり、今こそ、変化の風をとらえ、大胆な発想と果敢な行動で、北海道のもつ可能性を大きく開花させていくべき時であると思います。
 そのためには、これまでの取組の成果を礎として、道民の皆様と手を携えながら、高い食料供給力や優れた自然環境などの「北海道価値」を一層高め、広げるとともに、地域の創意と主体性が存分に発揮され、地域が輝く地域主権型社会の実現に向け、大きく前へ踏み出していくことが必要です。
 さらに、少子高齢化や過疎化など、全国の地域が抱える共通課題の克服に向けて、北海道が先駆的な取組を進めることで、地域再生のモデルとしての役割を果たしていくことができると考えています。
 私としては、この一年を、本道の景気回復を本物にし、誰もが安心して生き生きと暮らせる社会づくりを進め、創造と挑戦の精紳で北海道を新たな発展の軌道へ乗せる確かな歩みの年にするため、全力を尽してまいります。
 新しい年が、皆様にとりまして希望あふれる年になりますよう、心からお祈り申し上げ、新年のごあいさつとさせていただきます。

自らビジョンを打ち立てる年に
全日本印刷工業組合連合会
会 長
水上 光啓
 新年明けましておめでとうございます。旧年中は当連合会の運営に対し格別のご理解、ご協力を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。
 さて、昨年は1月〜3月期の実質GDPが戦後最大の落ち込みを記録した後、幾分持ち直しの兆しが現われたものの、再びデフレ、円高、株安、雇用不安と、日本経済を取り巻く環境が悪化してきました。迎えた2010年も、必ずしも早期の景気回復を期待できる状況にはなく、われわれ印刷業界も、かつて経験したことのない試練に直面しているといえます。
 そのような環境の中でこそ、私たちは将来を見通して有効な手を打っていかなくてはなりません。当連合会では「業態変革実践プラン─全印工連2010計画」を掲げ、業界の変革のシナリオを示してきました。その骨子はまず、この不況時に経営者が為すべきことは、日々刻々と変わる経営環境に適応すること、自社の方向性を明確に示して組織を固めること、潰れない経営をすることだと認識することにはじまります。
 そして、製造業・サービス業・情報産業という、印刷が持つ3つの側面を再度認識し、一番大切な「共感力」を高め、自社のコアビジネスの周りから一歩ずつ領域を広げていくことです。つまり「ワンストップサービス」を通じて、「クライアントのイコールパートナー」を目指すことが、変化に対応するための一番の指針になることは、これからも変わらないと考えます。
 不況時とは変化の時代であり、その変化の中にこそ多くのビジネスチャンスが潜んでいます。既成の常識が壊された後に誕生する、新たな社会構造に適応した者だけが市場に参入することができるのは、ダーウインの進化論を繙くまでもありません。そして、大きな変化も、突然やって来るのではなく必ず予兆があります。
 先を見通すことが難しいといわれる中、本年こそ、よく目を凝らして小さな動きも見逃さず、今後起こり得る社会の変化の中で、自社が何をもって貢献し、お客様に受け入れられる企業となるのか、自らビジョンとシナリオを打ち立てる必要があります。
 これは一企業だけが抱える課題ではありませんが、「業態変革実践プラン」の示す指針をあらためて確認していただければ、みなさんが取るべき具体策は、必ず見つかるはずです。業態変革に永遠に終わりはありません。価格競争ではなく、私たちの価値を正当に評価していただくこと、コンプライアンスに優れた、安心して発注していただける業界であること、多様化するメディアへの対応力と感性を併せ持つ、魅力あるプレーヤーであることに熱意を注げば、とるべき対策は無数にあることに気づくはずです。
 これからもわれわれ印刷産業が、クライアントにとって、社会にとって不可欠な、価値ある産業であり続けるために、本年も皆様と共に勉強し、事業運営に努めて参りたいと思います。
 最後になりましたが、皆様のますますのご健勝と企業のご繁栄を祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。

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