印刷燦燦
不況こそチャンス

理事・札幌副支部長 松本 直子
興翔印刷株式会社代表取締役

 『〈「こんな時代だから」と始める人。「こんな時代だから」と諦める人。〉語学学校の入学案内のキャッチコピーです。
 現在は大不況の真っ只中にあるといわれますが、これをピンチと捉えるか、チャンスと捉えるかは、人により分かれます。ある経営者は「不況こそチャンス。改善するべきことが山ほどありますから」と語るほどです。
 「苦しい時代だから、厳しいのは当たり前」と、腹をくくって前向きに明るく取り組む時、心の変化に沿うように境遇のほうも変わってきます。それを知っている経営者と企業が、マイナスの状況をチャンスと捉えるのです。
 ある五輪メダリストは、「“絶好調だ”“調子いい”と言っていると、そうなる。言葉には力がある」と語っています。状況を肯定的に受け止めるのも否定的に受け止めるのも、どちらも個々人の心の持ち方次第なのです。
 不況という大勢は、個人の力では変えられません。変えられるのは、まず自分自身です。こんな時代だからこそ、積極的に心の持ち方を変えてみましょう。』
 これは、ある冊子の一頁です。まさにそのとおりだと思いますが、状況の良い時にこそ気を引き締め、いかなる変化にも対応できる準備と体力を持たなければ現在のような長引く予想外の不況下に腹をくくりチャンスをものにするのはなかなか難しいかもしれません。ただ、不況は、好景気の時には気づかなかったことや見えなかったことを教えてくれ、問題解決力をつけてくれるように思います。
 そして、「考えてるつもり」、「やってるつもり」、「知ってるつもり」の「つもり」は「できる」ことではないことを改めて考えさせてくれます。
 心の持ち方をプラス志向に変えることで表情も変わり空気も変わります。ですが、当たり前のことですが、正しい努力や正しい行動が伴わなければピンチをチャンスに変えることはできません。
 この先は、印刷業界のみならず他の業界も容易に好転することはないようですが、企業の資産は減少しているものの、個人資産は増加しているという(金融機関の話)現実からすれば、チャンスはそこにあり、一日も早く財布の紐を緩めたくなる秘策に知恵を絞りたいものです。

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