印刷燦燦
日本最北の地域とともに

常任理事・稚内支部長 杉川  毅
稚内印刷株式会社 代表取締役

 北緯45度31分22秒とは日本最北端の地の緯度になります。稚内市は、日本最北端の市というだけではなく、43km先に北欧につながる玄関口であるサハリン(旧樺太)を望むことができる水産・酪農・観光の都市です。ところが基幹産業である水産は資源減少、酪農も乳製品の消費低迷さらに生産調整、観光はというと北海道全体で入込み数が減少している状況で、公共事業の縮減と合わせて四面楚歌という厳しい環境です。
 ご存知のように利尻礼文サロベツ国立公園を有する当地は、魅力的な最北と離島観光で多くの皆様をお迎えしています。日本名山である1721mの利尻山を有する利尻島、もうひとつの礼文島は海抜0mから高山系の植物を見ることが出来、可憐な花が一面に咲き乱れます。この両島は日本海にぽっかりと浮かんで見えることから、夢の浮島(利尻島)と花の浮き島(礼文島)と呼ばれものすごく魅力的です。
 このような素晴らしい自然や景観を、もっと大切にしながら多くの方に知っていただこうと「シーニックバイウェイ制度」(シーニック=シーンの形容詞、バイウェイ=わき道)をこの地域で導入しようと取り組み、道内で4番目に認定を受けることが出来ました。担当してみて素晴らしい景観ポイントや美味しい食べ物が、この地にあることを改めて知り潜在力の高さに驚かされました。
 しかし、そんな良い面ばかりではありません。最北に住む私たちは、旭川や札幌には遠く、高度な医療受診ができない、物流コストが高い、公共交通の往来が貧困など、地域ハンデは大きなものです。特に冬の宗谷は気温こそ名寄などの内陸地と違い札幌並みの気温ですが、風は天下一品です。この風が地吹雪を巻き起こし吹き溜まりや雪を上からではなく下や横から降らせます。そんな厳しい風を利用して周氷河地形が残る宗谷丘陵には、57基の風力発電施設が作られ新エネルギーの街としてチャレンジしています。
 疲弊感がまだまだ漂っておりますが、粘り強く雄大な自然の中で元気に日々生かしていただいているという感謝をしながらコツコツと最北の地で努力をしていこうと思っています。

 シーニックバイウェイ北海道のホームページ(http://www.scenicbyway.jp/

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