2006年印刷の月記念式典盛大に開催
(社)日本印刷産業連合会
 日印産連主催の「2006年印刷の月記念式典」が9月13日午後3時から東京・紀尾井町のホテルニューオータニで政官財界と関連団体から来賓を迎え、750余名の出席を得て記念講演会、記念式典、懇親会を盛大に開催した。記念講演では寺島実郎氏(三井物産戦略研究所所長・日本総合研究所会長)が「世界潮流と日本および日本企業」と題し講演した。記念式典では経済産業者から片山さつき政務官らを来賓に迎え、印刷功労賞と印刷振興賞の27名に対する日印産連表彰と経済産業省商務情報政務局長賞など11工場に対する第5回環境優良工場表彰を挙行した。日印産連藤田会長はあいさつの中で「市場環境の激変に対し新たな視点に立って経営を進めなければならない」と述べた。来賓の経済産業省片山政務官は祝辞の中で印刷産業界の環境保全への積極的な取り組みを評価すると述べた。

 2006年印刷の月記念式典に先立ち、寺島実郎氏((株)三井物産戦略研究所所長)による記念講演が行われた。
 寺島氏は「世界潮流と日本および日本企業」と題し、グローバルな視野と中長期的展望のもとに数字に裏付けされた豊富な資料を用いて講演を行った。
 世界経済については、「なぜ、同時好況が持続するのか」と問いかけ、(1)グローバル化とIT革命、(2)世界人口の持続的拡大、(3)戦争経済、(4)世界的低金利、(5)オイルマネーの5つの要因を挙げた。ただし日本は原油価格がオイルショック時の3.7倍に上昇してもパニックに陥っていないが、「人口は2005年にピークに達しており、急速な成熟化を衰亡させない知恵が求められる」と述べた。日本経済の先行きについても米国流の「金融主導のマネーゲーム資本主義」と欧州流の「ものづくりと産業技術力を重視した資本主義」に対する選択を問題提起した。
 次に、記念式典に移り、新村重晴副会長の開会あいさつ、国歌斉唱の後、藤田弘道会長が「日本経済は回復軌道に乗り、企業収益は改善し、設備投資も増加傾向にあり、企業部門、家計部門も順調に推移している」としながらも「業種、地域間での改善の程度にばらつきがあり、中小印刷業の多い業界としては景気回復の実感が乏しいというのが実情」と印刷産業界が景気回復の恩恵を受けていないことを示唆した。「こうした状況の中ではあるが、本年も業界を挙げて『印刷の月』の諸行事を開催できることは誠に大きな喜びであり、会員団体はもとより関連業界、各界の皆様のご支援の賜と厚くお礼申し上げる」と謝意を表明した。「本年も記念式典では、長年にわたり印刷産業の発展に貢献された方々が日本印刷産業連合会会長表彰を受けられる。2002年に創設された『印刷産業環境優良工場表彰』も5年目に入り、工場環境の改善に積極的に取り組み、社会一般の信頼を得る努力をされている数多くの工場が表彰される。また本年は、環境関連事業の一環として、グリーン・プリンティング認定制度を創設し、第1回の審査を終え、24工場が認定され、JGAS2006の会場で認定証公布の運びとなり、今後も多数の申請を期待したい」と述べた。情報価値創造産業としての印刷産業の今後について「市場環境が激変しており、新たな視点に立って経営を進めなければならない。業界の体質改善と最新の経営情報提供のためにも業界団体の役割が一段と増すものと思われる。当連合会は印刷産業が大きな変革期を迎えていることを認識し、変動する社会情勢に対応できる事業運営に会員10団体との密接な連携のもとに一段と努力する」と主催者を代表してあいさつを述べた。
 次に来賓を代表して、片山さつき経済産業省政務官が「印刷業は7兆円の出荷額を有する大きな産業であり、製品を通じて生活と文化の発展に貢献している情報加工サービス産業である。激変する経済社会環境に対してイノベーションを前提にすることが今後の印刷産業にとって肝要である。印刷産業界は環境保全対応に積極的に取り組まれている。環境優良工場表彰制度を実施され、クリーンプリンティング認定制度にも着手している。地球環境保全に不可欠なVOC排出規制などにも取り組まれており本省としてもありがたい」とあいさつが述べられた。
 続いて、日印産連表彰が行われ、印刷功労賞9人、印刷振興賞18名に表彰状が贈られた。
 環境優良工場表彰では、経済産業省商務情報政策局長賞2工場、日印産連会長賞4工場、日印産連奨励賞5工場に表彰状が贈られた。
 受賞者を代表して、印刷功労賞を受賞した渡辺武敏氏(全国グラビア印刷協同組合連合会副会長)から謝辞が述べられ、福田泰弘副会長の閉会の辞で記念式典を終了した。

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