日印産連が王子製紙のTOBに反対表明
 社団法人日本印刷産業連合会は、王子製紙(株)による北越製紙(株)の株式取得による経営統合に対し反対表明を発表した。
 表明の内容は次のとおり。

王子製紙(株)による北越製紙(株)の株式取得による経営統合に反対を表明

 このたび、王子製紙株式会社による北越製紙株式会社の株式取得による経営統合(合併)が発表され、日本印刷産業連合会としては、強い関心をもって事態の推移を見守っております。

・王子製紙は業界1位、北越製紙は5位の事業規模にあり、両社の合併が実現すると連結売上高1兆3,676億円(2006年3月期)となり、世界第5位の巨大製紙会社が誕生することになる。

・製紙業界は王子製紙と日本製紙グループの二大メーカー体制となり、供給・価格面で主導権を握っており、寡占化がこれ以上進むと製品、価格に対する選択肢が狭まり、価格形成力が一段と強化される。

・構造的な“供給過剰体質”により過剰生産〜価格下落〜価格値上げを繰り返し、平成7年から8年にかけて5回、そして同12年、14年、直近では18年春に一方的な値上げを余儀なくされ、印刷企業は大きな不利益を受けている。

・王子製紙・北越製紙の市場占有率は別表のとおりとなり、独占禁止法に抵触するのではないかと思われる。

 以上のような観点から、印刷業界にとって大変不利益となる経営統合には、日本印刷産業連合会として絶対反対を表明するものであります。
 印刷を通じて、生活文化に貢献することが使命である私どもの印刷産業は、身近な情報媒体である印刷物を広く社会に提供する責任があり、印刷用紙の安定価格・安定供給は不可欠であります。印刷と製紙は共通した市場認識をもって経営を進められることを強く要求する。

製紙業界における王子製紙(株)・北越製紙(株)の印刷・情報用紙の生産構成比率

(平成16年)(%)

王子製紙 北越製紙 王子製紙 北越製紙
上級印刷紙 22.2 14.6 36.8 特殊印刷用紙 4.7 9.6 14.3
中級印刷紙 20.8 9.3 30.1 情報用紙 23.2 1.2 24.4
微塗工印刷用紙 35.5 4.6 40.1 フォーム用紙 25.3 25.3
塗工印刷用紙 27.3 11.4 38.7 塗工マニラボール 27 29.7 56.7
アート紙 63.6 63.6 非塗工マニラボール 49.1 49.1
コート紙 32.7 8.9 41.6 塗工白ボール 46.1 13.8 59.9
軽量コート紙 16.3 16.2 32.5 非塗工白ボール 75.6 75.6
その他塗工紙 55.7 55.7
(注)※王子製紙には、連結対象の王子板紙および王子特殊紙を含む
  ※日本製紙連合会「平成17年紙・板紙統計年報」より

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