新会社法・平成18年5月1日施行
 新会社法が本年5月1日から施行されます。
 これまで、会社に関する規定は、商法第2編有限会社法、株式会社法、株式会社の監査等に関する法律など、さまざまな法律に分散しており、一つの法律にまとまっていなかったものを一本にまとめた。
 また、実質的な大幅な改正が行われ、特に中小企業に関する部分としては、株式会社制度と有限会社制度の統合、機関設計の柔軟化、事業承継に活用できる株式制度の充実、会計参与制度の導入、最低資本金の撤廃、合同会社の新設が盛り込まれた。
 中小企業庁では、新会社法で導入される制度のうち特に中小企業にとってメリットが大きいと考えられるものについて33問の問答形式にまとめている。

問1  株式会社の機関としてどのようなものがありますか。
答1  株式会社には、株主総会や取締役をはじめとして、取締役会、監査役、会計監査人等さまざまな種類の機関があります。
 また、新会社法では会計参与が新たに導入されます。
 
問2  「株式譲渡制限会社」とは何ですか。
答2  「株式譲渡制限会社」とは、すべての株式の譲渡を制限している株式会社のことです。
 新会社法では、有限会社制度の廃止により株式譲渡制限会社であるかどうかが制度設計の新たな基準となってきます。
 
問3  株式会社の機関設計が柔軟化されるそうですが、具体的にはどういう組み合わせがあるのですか。
答3  株式譲渡制限会社では、取締役会および監査役の設置が任意になり、取締役を1人のみとすることも可能となります。
 
問4  取締役会を設置しない会社の株主総会は、どう変わりますか。
答4  取締役会を設置しない会社では、株主総会の決議事項が拡大されるとともに招集手続が簡素化されます。
 
問5  株式会社の取締役や監査役の任期はどう変わりますか。
答5  株式会社の取締役の任期は原則として2年、監査役は原則として4年となりますが、株式譲渡制限会社では定款でそれぞれ10年まで延ばすことができます。
 
問6  取締役等、会社役員の責任は、どう変わりますか。
答6  取締役の会社に対する責任は、原則として過失責任となります。
 また、一定の場合に役員の損害賠償額を制限することもできます。
 
問7  取締役会の決議方法は、どう変わりますか。
答7  定款に定めれば、実際に会議を開かずに書面上で決議すること(いわゆる「書面決議」)が認められるようになります。
 
問8  譲渡制限株式の制度は、どう変わりますか。
答8  すべての株式でなく、一部の株式について譲渡制限することができるなど、柔軟な制度設計が可能となります。
 
問9  株式が市場取引されていない会社の自己株式の取得方法は、どう変わりますか。
答9  自己株式の取得の決議が定時株主総会に限定されず、臨時株主総会でも可能となります。
 また、譲渡人を指定しない方法も新設されます。
 
問10  相続や合併等により会社にとって好ましくない者に株式が分散することを防ぐには、どうしたらいいですか。
答10  相続や合併等で株式を取得した者に対して、会社がその株式を売り渡すように請求できる旨を定款で定めることができます。
 
問11  議決権制限株式は、どう変わりますか。
答11  株式譲渡制限会社においては、これまで発行済株式総数の1/2までとされていた議決権制限株主の発行限度がなくなります。
 
問12  株式会社においては、議決権、配当等について、必ず出資額に応じた配分をしなければなりませんか。
答12  株式譲渡制限会社においては、株式総会の特殊決議により議決権や配当について株主ごとに異なる取扱いを定款に定めることができるようになります。
 
問13  株券は発行しなくてもよくなったと聞きましたが、本当ですか。
答13  新会社法では、株券は定款に株券発行の定めがない限り発行されないことになります。
 
問14  社債の発行は株式会社以外はできないのですか。
答14  株式会社のみならず、特例有限会社、合名会社、合資会社、合同会社も社債を発行することができるようになります。
 
問15  新設される会計参与とは、どのような機関ですか。
答15  会計参与は、取締役と共同して計算書類の作成・説明・開示等を行う会社内部の機関で、税理士・公認会計士等の会計専門家からなります。
 設置は完全に会社の任意であり、強制はありません。
 
問16  剰余金の株主への配分は、どう変わりますか。
答16  配当は、株主総会の決議によりいつでもできるようになります。
 また、剰余金の配分の規定が整理され、統一の財源規制の下に置かれます。
 
問17  どのような会社で決算公告が義務付けられるのでしょうか。
答17  すべての機関設計の株式会社で、決算公告が義務付けられます。
 
問18 「合併等の対価の柔軟化」とは何ですか。
答18  会社が合併等を行う場合に、相手会社の株主に対して交付する財産(対価)の種類が柔軟に認められるようになりました。
 
問19  簡易組織再編は、どう変わりますか。
答19  簡易組織再編の規模の要件が5%から20%へ拡大されます。
 
問20  略式組織再編とは、どのような制度ですか。
答20  支配関係にある会社間での組織再編について、被支配会社での株主総会決議を不要とする制度です。
 
問21  有限会社制度が廃止されるそうですが、既存の有限会社はどうなるのですか。
答21  特例有限会社制度により、新会社法施行後も有限会社の商号をそのまま使用することが認められます。
 株式会社の商号を使用する通常の株式会社に移行することも可能です。
 
問22  特例有限会社となるためには、何か手続きが必要ですか。
答22  特例有限会社となるために特段の手続等は必要なく、存続期間の制限もありません。
 
問23  特例有限会社から通常の株式会社に移行するには、どのような手続きが必要ですか。
答23  定款における株式会社への商号変更、特例有限会社の解散登記および株式会社の設立登記を行う必要があります。
 
問24  合名会社・合資会社を株式会社に変更することは可能ですか。
答24  合名会社・合資会社から株式会社へ組織変更することができるようになります。
 
問25  合名会社・合資会社の社員の規定は、どう変わりますか。
答25  社員1名のみの合名会社の設立・存続ができるようになるほか、法人が無限責任社員になることが認められます。
 
問26  会社の設立手続きは、どのように簡素化されますか。
答26  最低資本金制度の撤廃、類似商号規制の廃止、払込金保管証明制度の一部廃止等を含め、設立手続きの簡素化が図られています。
 
問27  株式会社を設立するためには資本金はどれくらい必要ですか。
答27  最低資本金制度が撤廃され、資本金が1円でも会社を設立することができます。
 
問28  最低資本金規制特例制度を利用した「確認会社」はどうなりますか。
答28  新会社法施行後、既存の「確認会社」は5年以内に資本金を積み増す必要はなく、毎年行っていた経済産業大臣への書類提出も不要となります。
 
問29  既存の株式会社・有限会社が、資本金をこれまでの最低資本金の額未満まで減少させることも可能でしょうか。
答29  最低資本金制度が撤廃されるので、既存の株式会社・有限会社も無制限に資本金を減少させることが可能となります。
 
問30  商業登記制度は、どう変わりますか。
答30  類似商号規制が廃止され、「目的」についての柔軟な記載ができるようになります。
 
問31  払込金保管証明制度は、どう変わりますか。
答31  発起設立により会社を設立する場合は、「払込金保管証明」は必要なく、銀行の残高証明書で足りることとなります。
 
問32  現物出資や事後設立は、どう変わりますか。
答32  現物出資する財産額が500万円以下の場合は、検査役の調査が不要となります。
 また、事後設立の場合の検査役調査も廃止されます。
 
問33  合同会社(日本版LLC)とは、どのような会社類型ですか。
答33  合同会社は、有限責任社員のみで構成され、かつ組織の内部自治を認める新たな会社類型で、LLPとともに創業やジョイントベンチャーなどでの活用が期待されています。
※内容の詳細については、中小企業庁のホームページを参照ください。
http://www.chusho.meti.go.jp

BACK