印刷燦燦
ダイレクトマーケティングの今後

副理事長、マーケティング・経営革新委員長 花井 秀勝
札幌凸版印刷株式会社代表取締役社長

 近年、消費者が質の高いサービスやモノを求め、画一化したマスメディアからの広告情報を拒否し、次第にこれら広告宣伝媒体の効果が薄れ始めてきています。これら消費者の変化(価値観の多様化、個性化)は、個々の消費者が、いかに有益な情報を入手できるかが重要課題となっています。
 この流れの中で、ダイレクトマーケティング(以下、DRM)の手法は注目され、個々のニーズに応じた多様な手法によって情報の訴求を行うマーケティング活動が日本でも盛んになってきております。しかし、広く欧米においては主流となっているDRMですが、ダイレクトメールの一人当たりの年間受取通数の比較を見ても日本は先進国(アメリカを除く)の半分であり、まだ認知は低いと言えます。ただ、この分野における日本での市場拡大余地は非常に高い可能性を秘めているとも言えます。
 他国における一人当たりの年間受け取り通数比較は
 アメリカ:329通、イギリス:83通、ドイツ:79通、フランス78通に対し、日本は44通です。
 さらにアメリカでは、DM伸長率が5.5%の伸びであることが示すように「DMは有力なメディア」と認知されており、企業がDMにかける広告費用をみると、総広告費中テレビは17.8%、新聞は18.6%、ラジオ・雑誌は12.6%となり、DMをみるとどのメディアより高い19.5%と非常に高い構成比を占めております。
 このことからもアメリカの各企業は、不特定多数をターゲットとしたマスマーケティング以外にも、顧客を長期的に囲い込むためのダイレクトマーケティングの手法を積極的に取り入れていることがわかります。
 2007年問題、人口減少、少子高齢化、それにともなう様々なライフスタイル・ニーズの変化を考えるとこれからの5年、10年をみても、今後は「個人的志向」を意識した広告・宣伝形態が非常に重要になってくるのではないでしょぅか。

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