印刷燦燦

展 望

副理事長、経営革新・マーケティング委員長 花井 秀勝
札幌凸版印刷株式会社代表取締役社長

1.「2005年に世界最先端のIT国家となる」
 国家的目標として2001年に「e‐Japan戦略」が掲げられ、具体的な指針として「e‐Japan重点計画」が策定されました。これを受けて2002年2月全印工連は、組合員企業に社会環境の変化を伝えるべく「全印工連2005計画e‐Japanが変える印刷需要」を発行しました。
 「e‐Japan重点計画」は着実に実施され成果も上がりつつありましたが、IT革命の推進が世界的潮流である中、国際比較では我が国の優位性が確保されていないのも事実です。そのため政府は、目標達成を確実なものにすべく計画を加速化・前倒しし、経済社会のあり方を根底から変革しかねない高度情報通信ネットワーク社会への移行を、英断を持って邁進していかなければならない、としています。
 また、「e‐Japan重点計画」を第一期:IT基盤整備と位置付け、次なる第二期は技術や基盤の応用・実践、そして社会・経済システムの変革を目指したIT利活用戦略とし、「e‐Japan重点計画II」(2003年7月)、「e‐Japan重点計画-2003」(2003年8月)を発表しました。

2.印刷産業の現状
 このように国家的構造改革に懸けている政府、そのハードルを越えられる企業に対して、印刷産業の現状はいかがでしょうか。少なくとも同じ努力を試み、変革期の経験を共有しなければ、来たるべき社会に取り残されてしまいます。電子政府の実現でペーパーレス化が推進された場合、我々はどのように対処すべきでしょうか。顧客である行政、企業は印刷産業に何を期待しているのでしょうか。
 中小企業近代化促進法(近促法)から中小企業経営革新支援法(経営革新法)への移行は、業界ぐるみの設備近代化やスケールメリット追求という護送船団方式を反省し、企業個々の経営意識と事業計画の革新性を求められます。また、印刷産業の所管が経済産業省紙業印刷課から文化情報関連産業課(通称メディアコンテンツ課)に改組したことは、印刷産業はコンテンツを生業にしている産業と見なされていると解釈できます。間口の広いサービスを有し、IT革新により新たな取組みが可能な業種であり、決して紙媒体だけの製造業ではないのです。

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