印刷燦燦
「町内会活動で思うこと」

常任理事・南空知支部長
小川 孝成
株式会社組合印刷代表取締役社長

 昨年1月の町内会定時総会で、一応の議事が終了した直後に緊急動議が出された。『役員人事のうち、町内会長は立候補制にすべきである。』これが提案要旨である。
 議長は一瞬たじろいだ。代々、町内会長の引き受け手を探すのに大変な苦労をしているのを十分知っている。しかし、この案件をどう扱ってよいのか判断に困っているようだ。議案として皆さんに諮って、『賛成』の決議がされた場合、立候補者が出れば良いが、無ければ会長不在で運営が暗礁に乗り上げてしまう。そのことを懸念しての事である。
 過去数十年にわたって、その都度役員選考委員会を設け、委員のしたたかな説得により渋々引き受けて頂いていたのが実態だ。私も三年前に選考委員からの膝詰談判により会長を引き受けざるを得なくなった一人である。
 立候補者が複数出て、激しい選挙戦を勝ち抜いて、町内会長が誕生するのであれば大変良いことである。まさに、小さくても立派な自治組織になり得ると思う。しかし現実はボランティア会長の成り手を見つけるのは難しい。
 議長は、「この案件については、新役員の皆さんで十分議論をし、次年度の総会の席で発表を願います。」とやってのけた。
 それから一年。本年1月の総会で、私の方から「一年間、役員会で十分協議を重ねた結果、時期尚早の結論であるが本年も引続き研究課題とする。」と言うことで事無きを得た。
 今、町内会運営が大きな岐路にたっている。都市圏では、町内会加入率が70%を割るところが増え続けているそうである。そうなると生活環境整備や自ら行うゴミの分別処理は有名無実となる。
 町内会活動の半分以上は、市役所からの下請け的な仕事である。広報・お知らせ文書・要請文書の配付、各種委員の推薦・イベントへの参加・ボランティア事業の推進・地域公園の管理、その他まだまだある。
 一ヵ月程前の地元新聞によると、行政は、地域をブロックに分け、夫々に予算を配分し、地域が自らの考えで優先順位をつけ、生活環境の整備・改善工事を実行できるようにする方向性を示した。そうなると、町内会長の立候補制による選出も夢ではなくなる日も近いのかも知れない。