平成14年度
全印工連全国大会が盛大に開催される

 2002全日本印刷文化典仙台大会2日目の10月5日、全印工連全国大会が全国47工組から500名が参加して江陽グランドホテルで開催された。全体会議につづいて6つの分科会が行われ、経営革新、マーケティング、教育・技術、労務・環境、組織・情報、共済事業の常設委員会別に直面する問題について意見を交わした。

 全体会議が午前9時から開催された。
 木元武一副会長の開会あいさつにつづいて今野敦之宮城県工組理事長が歓迎あいさつに立ち、業界が抱える問題の一つ、料金下落に触れ「地方は大都市と違って官公需の占める割合が高いが、支部巡回をして分かったことは、低価格入札が問題になっている。その根本的な解決は1工組の力ではできない。国の発注制度が変わらない限り難しい。全日本印刷産業政治連盟に多くの組合員が加入し、組織の力で制度改善を働きかけていこう」と訴えた。
 また、中村守利会長も経済状況が一段と厳しくなっていることに触れた後「破壊的な料金下落が続いている。去る9月19日に開かれた日印産連の記念式典で、"健全な競争環境を目ざして適正な知的付加価値を確保し、厳しい倫理観に基づいた企業理念を持って行動する"ことがアピールされた。今日の破壊的な競争環境はモラルの欠如から起きている」と述べ、その是正を図っていくためにジャグラ、GCJも加わって業界秩序再構築検討協議会を9月11日に発足させたことを明らかにし、「今後、同協議会で対応を検討していくことになるが(1)意識改革 (2)物品購入から製造請負へのシステム改革 (3)営業マン教育の必要性を私自身提案させていただいた」と述べた。
 また、中村会長は用紙価格の値上げ問題にも言及し、「一方的な通告で、組合破壊につながる。現在、東印工組で実状調査を実施しているが、その一方で製紙メーカー各社への意見・質問書の送付、公取委への調査依頼、そしてジャグラやGCJ、複写組合も加わって日経新聞等に意見広告を出した」ことも明らかにした。
 あいさつの締め括りとして中村会長は、前日から行われた仙台大会の一連の行事に触れ「宮城県工組、東北地区印刷協議会の方々に対し、みなさんの情熱とホスピタリティに感謝したい」と述べた。
 来賓紹介に続いて(社)日本印刷技術協会の大鹿洪司会長が代表して祝辞を述べた。
 次いで、全印工連の磯野光雄専務理事が本部報告として、(1)2005計画の推進 (2)業界秩序再構築への研究・対応 (3)用紙価格の値上げ問題 (4)本木昌造・活字復元プロジェクトへの支援について説明した。
 このうち、用紙価格の値上げ問題について磯野専務理事は、製紙メーカー各社や代理店、卸商等の動きに全印工連が早急に対応してきた"反対運動"について説明し、「デフレ時代では価格転嫁はできず、競争秩序が崩れる」と述べ、製紙メーカー7社に送付した質問書に対して、王子製紙、三菱製紙、日本紙共販、大王製紙4社から回答があったことを明らかにした。
 また、磯野専務理事は公取委への調査依頼に関連して「一団体の申し入れでは、公取委としても動きにくい。全国8ヵ所に公取委の事務所があり、各県工組からも積極的な働きかけをお願いしたい」と、全国的な反対運動を展開するための協力を要請した。
 全体会議に引き続き10時30分から6つの分科会が開催された。
 各分科会の協議事項は次のとおり。
 >経営革新分科会=(1)官公需対策の研求 (2)資機材対策 (3)新しい経営の創造
 >マーケティング分科会=(1)市場情報の収集・提供(各工組・マーケティング勉強会の企画・開催、マーケティング勉強会事例発表)
 >教育・技術分科会=(1)2005計画・人材育成・技術対策の推進(変革対応のための新技術教育の研究──eラーニングの構築・検討、新しい研修事例の研究)
 >組織・情報分科会=(1)2005計画・情報対策の推進(全印工連ホームページの運営、工業組合ホームページの開設)(2)組織強化対策の推進(全国組合員異動状況、組合加入促進運動の推進、加入促進への取り組み) (3)政治的活動体制の強化(政治的課題の研究と対応、全日本印刷産業政治連盟との連携強化)
 >共済事業分科会=(1)共済事業拡大キャンペーンの推進(13年度キャンペーン優秀工組の事例報告、14年度キャンペーンの推進)
 >労務・環境分科会=(1)新雇用システムの構築に向けた動向 (2)環境課題への取り組み (3)ワンプ用紙およびインキ缶などのリサイクル問題