ファミリー・フレンドリー企業
をめざして

 北海道印刷工業組合は、平成13年度から2年間、北海道労働局長(厚生労働省)の認定を受け、「ファミリー・フレンドリー企業」の普及促進を目的に、『育児・介護雇用環境整備事業』を実施しています。
 少子・高齢化の進展の中で、労働者の仕事と家庭とを両立できる環境整備は極めて重要な課題であります。そのため、事業主において、育児・介護等家庭的責任を有する男女労働者が職業生活と家庭生活とのバランスを取りながら働けるように配慮した雇用管理が行われることが必要であります。仕事と家庭とが両立できるさまざまな制度を持ち、家庭的責任に配慮した雇用管理を行う「ファミリー・フレンドリー企業」を目指す必要があります。

育児・介護休業制度導入先進企業
(株)朝日相扶製作所を訪問
  1月28日、両立支援検討委員4人が、育児・介護休業制度導入の先進企業である山形県朝日町の(株)朝日相扶製作所を訪問した。
 朝日相扶製作所は、業種は木製家具製造業で、従業員160名。平成4年から正社員及び1年を超える期間の契約社員を対象に「高齢者介護休暇制度」を意欲的に実施している。
 同社の制度の大きな特徴は、介護休暇期間を「事情発生より終了の日まで」としているところである。
 制度導入の背景について、阿部啓一社長は、「山形県朝日町は、三世代同居世代及び高齢者の比率が県内でもトップクラスであり、育児休暇よりむしろ介護休暇が緊要の課題であった。特に中小企業にとって従業員1人ひとりが戦力であり、雇用の継続のためにも制度導入は不可欠であった」と話していた。
 昭和45年、出稼ぎにより冬の間、家族が離れ離れになってしまうという状況を解消するため、工場を誘致し設立したが、平成に入る頃からその当時の従業員の親などが丁度介護を要する年齢になったという状況にあり、これも制度導入の背景となった。
 同社の介護休暇制度の内容は、先ず、制度の対象となる労働者は、正社員及び1年を超える期間の契約嘱託社員となり、殆んどの従業員が制度の対象となる。これまでの介護休暇取得者は延べ11人で、そのうち男性従業員は2人いる。
 要介護者の範囲及び状況については、原則として同居の両親または祖父母もしくはこれと同等の状況にあると認められる家族の疾病が、従業員本人でなければ介護できない状況にあると認めた時としているが、弾力的な運用により配偶者や子など広い範囲で認めている。また、病状の要件は特に設けないで医師の診断に委ねている。
 休暇期間は、事情発生より終了の日まで。回数についても特に制限を設けていないので、改めて手続きを行えば何回でも取得できる。
 休暇期間を「終了の日まで」としたことは、「介護は出産や育児と違い、予めどのくらいの時間がかかるか分らないものに期間を設けることができない。また、朝日相扶という社名の原点である「相互扶助」の経営理念からも、会社のために長年尽くし、親の介護を余儀なくされている従業員を辞めさせることはできない」と阿部社長は地域事情と地域に立脚した企業事情を強調していた。
(アドバイザー 伊藤克義・記)