e‐Japan構想・平成14年度から本格化
 e‐Japan構想の尖兵となる「電子政府・電子自治体」が動き始めている。行政の情報化および公共分野における情報通信技術の活用の推進に向け、平成15年度までに電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現するため、14年度中に全府省において、申請・届出など手続の電子化に関わる共通的基盤システムを整備するほか、行政情報の電子的提供、政府調達の電子化などを推進する。電子商取引拡大のための環境整備も進められる。中小企業のIT化に向けた環境整備や支援策も総合的かつ計画的に実施される。

 政府のe‐Japan2002プログラム(「平成14年度IT重点施策に関する基本方針」)は平成14年度、次の5本の柱を基本的な方針として重点化を図ることとしている。
1、高速・超高速インターネットの普及の推進(省略)
2、教育の情報化・人材育成の強化(省略)
3、ネットワークコンテンツの充実(省略)
4、電子政府・電子自治体の着実な推進
 平成15年度までに、電子政府を実現し、電子自治体の構築を推進することとされているが、そのためには、必要な基盤整備を平成14年度中に進める必要がある。このため、申請・届出等の電子化に必要とされる地方公共団体による公的個人認証サービス等のシステムの整備等の基盤整備を着実に推進するとともに、国における取組みと歩調を合わせて、地方公共団体における取組みが行われることとなるよう、これを支援する。また、全てのIT化の基礎となるセキュリティの確保に万全を期すこととする。
5、国際的な取組みの強化
(1)行政情報の電子的提供(総務省および全府省)
 「行政情報の電子的提供に関する基本的な考え方(指針)」に沿って各府省が策定する「電子的提供の推進に関する実施方針」に基づき、行政組織、制度などに関する基礎的な情報、予算および決算等に関する情報、社会的な有効活用に資する情報等行政情報の電子的提供の計画的・重点的な取組みを行う。
(2)申請・届出等手続の電子化(総務省、財務省および全府省)
 新たなアクション・プランに基づき、次に掲げる事項を推進する。
 ・認証システム、汎用受付等システムの整備
 ・手数料納付の電子化に必要とされるシステムの整備
 ・個別手続ごとに必要なシステムの順次整備
 ・内部事務処理の効率化に資する審査支援データベース、稟議・決裁、文書管理システム等の整備・機能高度化
(3)公的個人認証基盤の構築(総務省)
 住民基本台帳のデータを活用した地方公共団体による公的個人認証システムの平成15年度からの運用開始に備え、実証実験の実施とともに、法制面を含め必要な制度の整備およびシステム構築を行う。
(4)政府調達の電子化
 非公共事業関係については、入札・開札の電子化に向けた仕様の検討を踏まえ、システム整備、試行運用を行う。(総務省および全府省)
 公共事業関係については、一部の直轄事業に係る一定規模以上の事業において電子調達システムを運用するとともに、各入札方式に対応したシステム整備等を行う。(国土交通省および関係府省)
(5)ペーパーレス化(電子化)(総務省および全府省)
 各府省共通でペーパーレス化(電子化)すべき事務の電子化を図る。また、必要に応じ、既存システムの機能高度化等を行うとともに、本省と地方支分部局などのLAN間接続、国と地方公共団体等を通ずるネットワークの整備を推進する。
(6)地方公共団体への取組み支援(総務省および関係府省)
 国の行政の情報化に係る取組みと歩調をあわせて、地方公共団体の取組みが行われるよう、地方公共団体の取組みを支援する等重点計画の着実な実施を進める。
(7)地方公共団体による広域的なシステム整備(総務省)
 複数の地方公共団体による広域的なシステム構築を進める。このため、ASP等を活用した共同運営システムの整備を進めるべく、実証実験を行う等必要な環境整備を行う。
(8)地方選挙における電子投票(総務省)
 有権者の利便性の向上や開票の迅速化を図るため、地方公共団体の選挙における電子投票の試行を可能とするための取組みを行う。
(9)システム開発に係る評価指標の策定・普及(経済産業省および関係府省)
 ソフトウェア開発・調達プロセス評価指標モデルの策定に係る成果を踏まえ、官民での同モデルの普及に向けた評価者の育成環境を整える等の普及に向けた取組みを進める。
(10)公共分野における情報化の推進(関係府省)
 研究開発を推進するとともに、科学技術・学術研究、芸術・文化、保健・医療・福祉、環境、防災、公共交通分野の情報化、ITSやGISの推進等各分野における先進的な情報通信基盤やアプリケーションの積極的導入を進め、重点計画の着実な実施を進める。
(11)効率的な施策の推進(全府省)
 効率的な施策の推進を図るため、1既存システムなどの活用、2通信サービスの多様化、技術の進展等に応じた効率的なシステムの構築、3設計・開発成果等の共有化、4施策の重複排除、5施策の整合性の確保等を行う。

 行政の情報化および公共分野における情報通信技術の活用の推進に向け、平成15年度までに電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現するため、平成14年度中に全府省において、申請・届出など手続の電子化に関わる共通的基盤システムを整備するほか、行政情報の電子的提供、政府調達の電子化などを推進する。