平成13年度第1回全道委員長会議
平成13年度上期全印工連北海道地区印刷協議会
デジタル化時代の印刷産業を探求
 平成13年度第1回全道委員長会議、平成13年度上期全印工連北海道地区印刷協議会が、7月3日午後1時から札幌市中央区の札幌パークホテルで、全印工連から中村会長、磯野専務理事、全道から60余人の委員が出席して開催され、全体会議、委員会、総括会議の中で、当面 する問題や課題について討議が行われた。

〔全体会議、全印工連北海道地区印刷協議会〕
 最初に岸理事長が「印刷業界はIT革命が進んだことで地域限定での競争ではなく、道内、国内が同じ土俵に立つことになった。その対応策を考えていかねばならないが、自助努力が必要になってくる。今年は全印工連の『2005計画』が現実味をおびてくる。各社の経営方針に盛り込んで頂ければ幸いだ」とあいさつを述べた。
 次に中村全印工連会長が、小泉内閣が進めている構造改革や日本経済の動向について触れた上で、日産を再生したカルロス・ゴーン氏のことばを引用して「企業が生き残るためには、スリム・シンプル・スピードという3つのエキスがある。大企業と中小企業では違うところもあるが、経済のエキス、ノウハウは同じだ。スリム・シンプル・スピードを実行していけば、小泉内閣のいう構造改革や不況は大した問題ではない。『2005計画』はそういうことを成し遂げるために、メニューをふんだんに提供している。自社で何を捨てていくかが大事。メニューの中から5項目ぐらいを拾っていけば、しっかりとした企業になると確信している」と『2005計画』の活用を訴えるとともに、各地で自主的な議論が盛り上がることに期待を寄せた。
 続いて、磯野全印工連専務理事が、「2005計画」の具現化を核とする全印工連の平成13年度事業計画や業界の現況について説明した。
〔委 員 会〕
 組織・情報、マーケティング、経営革新、教育・技術、労務・環境、共済事業の6つの委員会と青年部会に分かれ、(1)平成13年度事業推進について、(2)意見交換、(3)委員会意見集約、(4)全印工連要望事項集約の討議が1時間30分にわたって行われた。
〔総括会議〕
 各委員会・青年部会における討議内容や意見・提案などが次のとおり発表された。

組織・情報委員会 発表者 山口委員(南空知)

・未加入業者の加入促進を各支部で行っているが加入より脱退の方が多く苦慮している。北印工組にメリットを求めても限界があるので各支部の活動を活発にすることが加入促進につながる。
・長年の懸案であった青年部が本年度から立ち上がった。
・関連業との連携強化から関連業者を印刷産業と拡大して組合員にすることを検討するべきである。
・「北海道の印刷」は、ページを増やし内容を充実してほしい。
・「日本の印刷」は早く配布する努力をしてほしい。
・全印工連がホームページを開設している。
・経営管理ソフトひぐまは、今年から利用しやすいようにレンタル制度を設けた。
・北のペーパーデザインコンテストを実施しているが地方の会社からの出品が少ないので協力してほしい。
・北海道総合印刷機材展は、今年から北海道情報・印刷産業展として開催するので多数の方々の来場をお願いしたい。
・印刷月間事業では、札幌支部がパソコンイラストコンテスト、室蘭支部が支部設立50周年事業として印刷機による実演、釧根支部が地元の著名人による講演会を開催し、市民に印刷業をPRする。
・来年は、釧根支部主管で第26回北海道印刷業者大会が開催されるが、現在、釧根支部で行事内容を検討中である。

マーケティング委員会 発表者 花井委員長

・昨年、札幌支部で札幌市の電子化について「マルチメディアデータ活用研修会」を開催したが地方からの参加も多く、大きな刺激になったとの事であった。
・旭川市でも今年から高度化センターでXMLの研修会が始まった。
・十勝支部では、帯広市・印刷会社・NTT・コンピュータ会社とジョイントして文書管理の電子化についてセミナーを開催する。
・異業種の印刷参入が多くなり、旭川では健康食品会社が印刷受注を行っている。
・小樽支部では、官公需に札幌の業者の参入が多く、価格が下落している。
・北空知支部では、官公庁に対し地元優先発注の要請を行った。
・苫小牧支部から、地方支部では高価な印刷機を導入してもそれを償却するだけの仕事がないので、札幌を中心に機械の空き状況がわかるようなネットワークを構築してほしいという意見があった。
・稚内支部からは、今年サハリンの印刷会社を見学したが、電子機器・最新の印刷機械等が導入されており10年前とは雲泥の差であったとのことである。
・特殊法人が官公庁の仕事を随契で持っていくことが多いので、入札による公平な競争を北印工組として道へ働きかけてほしいという意見があった。
・印刷通販が道内にも出まわり、印刷料金の低価格化を促進している。

経営革新委員会 発表者 黒済副委員長

・自社に合った仕事をすることが企業の利益につながるので、同業者とネットワークを組み仕事の交流を進めるべきである。
・DTPの受発注では、カラーマッチングの面でトラブルが起きることが多いので、データ受領の段階で十分打合せを行う必要がある。
・国内で用紙、インキ、フィルム等の資材は高いもの買っているようなので、国際的な情報を流してほしいとの要望があった。
・官公庁に対して、印刷物は物品購入なのか請負なのかを明確にするよう働きかけてほしいとの意見があった。
・室蘭支部から50周年事業を実施するので資金協力の要請があった。

教育・技術委員会 発表者 川越副委員長

・本年もマルチメディア研修会を(株)Tooの協力を得て開催する。
・印刷営業士の資格取得者の追跡調査を行い、各支部で実際にどれだけの印刷営業士が実在し活動しているかを把握してほしいとの意見が出された。
・印刷営業士の再教育という面からも資格の更新制度を設けてほしいという意見が出された。資格のバージョンアップを行うことにより企業の利益に結びつく。
・ISO9000、14000のいろいろな情報を「北海道の印刷」「日本の印刷」で流してほしい。
・新しい時代に合った組合事業の展開が望まれるということが委員会としての結論であった。


労務・環境委員会 発表者 松本副委員長

・産業廃棄物・一般廃棄物の不法投棄が問題になっている。処理業者に委託をしている場合でも不法投棄が行われた時は排出した方にも責任が問われることになる。したがって、不法投棄が行われた場合の責任割合を明確に契約しておく必要がある。
・マニュフェスト伝票は、トラブルが起きた時には必要になるのできちんと保管しておかなければならない。
・印刷会社では有機溶剤を使用しているのでその対応が必要である。
・グリーン購入法が今年4月に制定され、地方公共団体にも導入されるので対応を検討しておかなければならない。
・雇用問題では、印刷企業は中高生の採用をしないといわれているが、我々の企業では、若い人を育てている余裕がないので、即戦力を求めている。

共済事業委員会 発表者 高木委員長

・共済事業委員会は、唯一経済事業を行っている委員会である。
・生命共済・経営者退職功労金共済、労災上乗共済、設備共済の4つがある。
・平成12年度の運用実績は、北海道は、生命共済が38社の加入で全国47社工組中最下位 である。経退功は18名44口。労災上乗共済は12社。設備共済は20社である。
・設備共済は本年度から、1社において事故回数が増えると共済金の支払に条件をつけることになった。
・全国的に共済の拡大キャンペーンが行われるので、ご協力をお願いしたい。



青年部会 発表者 村本副部会長

・全印工連全青協の活動、青年部発足の経緯を説明してから意見交換を行った。
・その中で青年部の必要性、予算の問題も含めて中身がなければ時間つぶしになるという厳しい意見もあった。
・本年度の活動は、これまでの青年印刷人フォーラム、全青協北海道ブロック協議会を引き続き行うこととした。時期は、次回の全道委員長会議に合わせて開催することとした。
・青年部として、インターネットホームページに掲示板を設けたり、Eメールで意見交換を行うことを検討することとした。
・青年部の活動には経営者の方々の理解が必要なので協力をお願いしたいとの要望があった。

 各委員会の意見発表者に対して、岸北印工組理事長、磯野全印工連専務理事から、それぞれ感想所見が述べられた。
理事長集約 岸理事長

・組織の拡大では、組合員の加入資格を印刷産業に拡大してという話であったが、現在の北印工組の定款では印刷業を営む個人または法人となっており、賛助会員制度は設けていなく、本州大手企業も製版会社等も皆、正会員として加入してもらっている。
 これを定款変更して成文化するということになると、他の部分でも定款の見直しが必要な所もありこれらも含めて今後進めていきたい。
・特殊法人へ随契で仕事が流れているということについては、競争の原理もあり難しい面 もあるが、その必要があれば関係官公庁に対して言うべきことは言わなければならないと思う。
・仕事のネットワークは大いに結構なことであるので、それぞれがそれぞれのネットワークの構築を進めていってほしい。
・印刷営業士のフォローアップということについては、9月に行われる管理印刷営業士の研修もその一つであるので多いに受講してほしい。
・環境問題については今後一層厳しくなるのでその対応をして行かなければならない。
・雇用問題については、我々の人材供給源は道立高等技術専門学院になるが、なかなか即戦力となっていないようである。印刷の多様な工程のスペシャリストになれる専門教育を要請していきたいと思う。
・共済事業は唯一の経済事業であるがなかなか難しい面がある。生命共済については、各地の商工会議所等でも行っており、仕事の関係上の付き合いもあるので、そちらを止めてこちらへということは簡単にはいかないと思うが、設備共済については、業界にしかない制度であるので是非加入の検討をお願いしたい。
・青年部は、長年の懸案であったが今年ようやくスタートした。現在のコンピュータを中心とした技術は若い世代でなければ対応できないので、若い人達の力を大いに発揮していただきたい。

全印工連集約 磯野専務理事

・印刷営業士の資格を更新してバージョンアップを図るということについては、現制度の中では更新制度がなく1回取ると一生有効ということになっている。
・現実には、各地の営業士会などで勉強会等を開催しレベルアップを図っている。
・更新制度の方が良いということであれば、現行制度と切り離し、白紙に戻して再構築する必要がある。
・仕事の交流・ネットワーク化については、下請けではないパートナーとしてのグループ化を推めて行ってほしい。それが相互扶助につながる。
・北海道の資材の価格が高いという話があったが、用紙を1つとっても確かに高い。北海道の業界として代理店・卸商に働きかけを大いに行うべきである。
・輸入紙は増加してきてはいるが、まだウエイトが低いので全体に与える影響は少ない。
・グリーン購入法は、今年4月の制定であるが、印刷に関する部分は11月頃までに整備される予定で作業が進められている。