全 印 工 連 「官公需アンケート」集計結果 まとめる
 全印工連は、昨年11月から12月にかけて全国の工組を通じて「官公需アンケート」を実施し、この度、集計結果 を発表した。
 以下、主な集約結果、コメントを紹介する。
官公需アンケート集計結果
1.集約にあたって
(1) 本アンケートは平成12年11月から12月にかけて全国の都道府県庁とその所在地の区・市役所等を対象に実施したものである。
(2) 調査個所は各県工組の判断に委ねたため、対象となった局・部・課名は不明である。
2.主な集約結果(44工組112個所)
1.契約形態
(1) 製造の請負 54(48.2%)
(2) 物品の購入 49(43.8%)
(3) その他    9(8.0%)
2.最低制限価格(製造の請負対象)
(1) 設定している   2
(2) 設定していない 52
3.地元優先発注
(1) 行っている   88(78.6%)
(2) 行っていない  23(20.5%)
(3) ケースによって  1(0.9%)
4.落札価格
(1) 公表している  94(83.9%)
(2) 公表していない 15(13.4%)
(3) その他      3(2.7%)
5.予定価格
(1) 公表している   1(0.9%)
(2) 公表していない 102(91.1%)
(3) その他      9(8.0%)
6.積算根拠(重複回答)
(1) 物価資料    56
(2) 積算資料    42
(3) 前年実績    75

官公需アンケート 各欄コメント紹介
○印刷物の契約は「製造の請負」、「物品の購入」のどちらですか。
1)製造の請負(の扱いであるが…)
 ・印刷された書籍・パンフレット・ポスター等の購入の場合は物品扱い。
 ・「賞状用紙」と「帳票類」は物品扱いとしている。
2)物品の購入(の扱いであるが…)
 ・但し、製版・製本の価格割合が7割超、単価8千円以上、上製本などの場合は「製造の請負」としている。
 ・但し、一部役務的要素の強いものは「製造の請負」になっている。
3)部署により様々
 ・基本的には物品の購入であるが、一部本の作製で製造の請負で対応するものもある。
○入札ではどの契約形態が多いですか。
 ・随意契約は特許がある場合などその業者にしか出来ない場合のみ。その他は指名競争。
 ・自由参加型見積り合せ
 ・週1回、登録業者により仕様書に基づき見積り合せ。最低価格者と随意契約。
 ・随意契約は入札に近い形での見積り合せを基本としている。
 ・全体の正確な比率は把握していないが、当県の場合250万円以下の場合は随意契約可としているので、件数ベースでは殆どのものがこの範囲に収まるものと思う。
 ・随意契約による場合も、見積り合せによる価格競争を原則としている。
 ・原則として予定価格(予算)により、競争入札または随意契約となるが、それは印刷物一種類の金額ではなく、一契約の金額である。複数種類の印刷を一契約とすることもある。
○地元(県内・市内の納税業者)への優先発注は行われていますか。
1)行われている

 ・見積り合せまたは入札の際の指名において、地元業者へ配慮をしている。
 ・地元業者優先発注が県議会で採択されている。ただ、「地図印刷」など特殊な印刷で県内業者のみでは対応が難しい場合、他県業者が参加している。
 ・基本的には県内業者、ただし地図、フォーム印刷などのような特殊なものは別 。
 ・物品関係競争入札参加資格要件で、域内に事業所を有し、法人事業税を2ヵ年分完納しているものとしている。
 ・「官公需に関する中小企業者の受注の確保に関する法律」の趣旨を踏まえ、中小企業者が受注可能なものは優先的に発注するなどの施策を実施している。
 ・発注統括課としては、地元対応が出来ないものを除いては、地元優先としている。
 ・一般競争を除く全てを県内業者にて行う。
 ・一般競争入札を除き、本庁調達分については、定例班方式により行っている。なお、県内の登録業者に対して班編成の周知を行っている。
 ・11年度は100%県内発注。
2) 行われていない(その理由)
 ・指名競争を行う際の被指名業者の選考に当たり、事業所の所在地は選考基準として定められていないため、地元企業への優先発注は積極的には行っていない。しかし、他の条件が同様であればなるべく地元企業を指名するような配慮はしている。
 ・全ての業者への発注の公平性及び競争参加への機会確保を重視しているため。(しかし、結果 的には11年度の発注件数は、県内中小企業94.3%、県外中小企業1.3%、県外大企業4.4%であり、選挙関係等特殊なものやフォーム印刷以外は、ほぼ県内中小企業が受注している。)
 ・オフ輪業者に限定された入札に限り県外業者が入る。
○落札後、落札(入札)価格または予定価格は公表されていますか。
 ・落札価格は、入札に参加した業者に限り公表している。
 ・指名競争入札においては、閲覧の方法により入札結果を公表している。
 ・指名による見積り合せについても、照会があれば契約金額は公表する。
 ・積極的に公表していないが、求められれば応じている。
 ・閲覧方式(当該年度分)、県庁ホームページ(管財課)で公表している。
 ・通常は非公表。情報公開請求があれば公表する。
 ・出納事務局管理課分室において、一部(100万円以上の契約)は公表している。
 ・予定価格については、文書公開請求条例に基づき公開するか否か決定する。
 ・落札結果表は窓口で閲覧に供している。予定価格は事後でも公表しない。
 ・落札公表は今後、公共事業契約適正化との関連で検討することになろう。
 ・落札価格は公表するが応札業者の価格は公表しない。
 ・入札参加業者全員に終了後応札価格を開示することもある。但し、申し出が必要。
 ・落札価格の閲覧制度等はないが、情報開示請求があれば開示を拒むものではない。
 ・最低金額(落札者)のみ公表する。
 ・落札後、参加業者には価格を知らせているが、閲覧等による公表はしていない。
○発注者側として最近一番問題視されていることは何ですか。 〔発注者側が述べる業界に対する意見・要望等〕
 ・中小企業者の受注機会の増大については、国等の契約の方針に基づく目標以上の成果 をあげているところであるが、財政難の中、発注機会が減少しているので、中小企業者においても、その柔軟性や創造性を発揮し、自助努力に期待したい。
 ・公正な競争性の確保が求められている。
 ・中小企業の育成に配慮すること。
 ・談合の防止の徹底。
 ・ITの発達により、印刷物についてもホームページに載せることが増え、今後も増加して行くと思われる。
 ・DTP作業において、まず業者側が対応可能かどうか、次に技術・設備等があるかなどの情報が少なく指名業者の選定に苦慮する。
 ・市民の声として物品購入は安くすべしの声(税金の無駄遣い)があり、入札も厳しい金額となっている。担当者として心苦しい思いである。
 ・業界がまだまだ旧態依然の体質のため、競争性に乏しい。  ・県内地元企業への受注機会の拡大と県財政状況の危機による発注件数の減少。
 ・「印刷の値段がわからない」というのが感想。ダンピングにより予想外の安値で落札してしまい印刷物の仕上がり(品質面 )を心配している。また、次年度予算が組みづらい。
 ・IT国家や社会の流れの中、本県においても電子県庁づくりに向け、業務の電子化を進め、あるいは進めるための検討を広範囲に行っており、電子申請や電子調達も視野に入っているところである。これに関する官公需の特に中小零細事業者向け発注において、今後、事業者側の対応がどの程度電子調達等に対応出来るかという懸念がある。
 ・官公需の発注にあたっては、大企業によりも中小企業を優先し、公正・公平性、透明性、効率性を日々追求しているところであるが、大原則である価格競争の原理がある中で、最適な発注方法を見つけ出すのは容易なことではない。
 ・障害者多数雇用事業所等への優先発注等の検討。
 ・グリーン購入の推進やグリーン配送の実施問題。
 ・業者のシビアな競争を感じる。公正な競争を望む。
 ・ISO取得は取得企業が増えれば競争要件に入れることになるだろう。
 ・公正な競争を全ての分野で市民から厳しく望まれる。談合は絶対しないように望む。
 ・用紙値上げは理解しているが、なかなか予算に反映出来ないのが残念に思っている。
 ・競争の激化による価格の大幅ダウンとバラつき。
 ・県内企業への優先発注に対して、適正競争という観点から公正取引委員会がどういう法的解釈をするのか、という問題。その如何で県の対応も変えてゆく必要が出てくる。
 ・技術革新等に伴う、新しい印刷形態等の情報提供をお願いしたい。
 ・指名許可業者への機会均等と予算減に伴う全体的な価格(制作方法も含む)の見直し。
 ・業者間のダンピングがあり、予算が立てにくい。
 ・地元中小企業の育成を念頭に置く方針であるが、公正取引委員会の地方公共団体による規制・入札等に係る報告書及び改善要望を踏まえ、公正な発注に努めてゆく必要がある。
 ・現場担当者→経理担当者→契約担当者と発注までに複数人の手を経るため、仕様についての認識のズレが若干見受けられる。 〔受注側(組合員からの意見・要望等)〕
 ・ダンピング価格を排除してほしい。(落札価格の適正化を!)
 ・印刷業者の等級格付基準が、年間売上・自己資本・従業員数・流動比率・営業年数を基準として資格審査され、設備を全く考慮しない格付で企画会社等、設備を保有しない業者でも登録さえすれば指名される。
 ・業者をAランク、Bランクに分けているが、発注時における線引きがはっきりしない。
 ・価格が不安定で、積算に問題がある。
 ・公平性を重視する余り、何でもかんでも指名すれば良いという風潮が多々見られるが業者の選択について一考してもらいたい。(仕事量 ・内容・設備など)
 ・業者選定基準がどのようなものか知りたい。その物件に対応できる設備などのチェック、調査がしっかりなされていないのではないかと感じる指名が多いように思う。
 ・異業種参入による製造コストの違いが非常に多い。
 ・指名競争は名ばかりで実際には「情報公開」を名目に一般競争に近い20社前後の入札となる。その指名された業者を見ると印刷仕様や条件に見合う生産設備を持たない会社が多数見られ、組合未加盟業者も含まれている。また、予定価格の設定基準が不明確である。
 ・地元企業、前回実績を重視する自治体だが、最近の情勢を受けて他業種や実績の無い業者の参入も見受けられる。
 ・原価割れのような金額でなければ落札できないような状態である。これを解決するには、印刷を「製造の請負」扱いにして、最低制限価格を設けるように働きかけ実現してほしい。
 ・県の総予算カットの原則に基づき、発注価格を一番問題視している。安ければ良いという考え方が原点にある。
 ・不景気という状況下で入札金額がただ安ければ良いという風潮があるような気がしている。官公庁が先導して景気対策のために官需を促してほしい。
 ・発注数が減り、単価が下がっている。また、全体的に納期が短く金額も前年より低い。
 ・業者に安値競争をさせすぎている。市は安ければ良い、助かるという思いでしかないのかと感じる。財政逼迫とはいえ民を先導していく使命感はもう持たないのかと残念に思う。
 ・品質に関係なく見積りをとるので驚くような価格での落札がある。
 ・ランク付けが正確に出来ていない。官公庁では当該者の能力を無視し、皆同じ扱いであり実態に合っていない。
 ・市の回答は「問題ない」とのことであったが、近年の極端な安値受注の結果 、殆どの入札案件について前値による予算どりがなされているため入札不調で、予算いっぱいで落札しても安値受注しか出来ない。新しく入札に出た案件のみ受注価格の改善がみられる。
 ・とにかく価格重視でダンピング業者の溜まり場となっていて話にならない。
 ・価格と品質のバランスがとれていない。規制緩和で門を広げたものの、質の低い業者が多い。
 ・ダンピング業者が前年低価格で受注し製品等に問題があったため本年は指名業者からはずされるというケースがあったが、その際、発注予定価格は実績が参考にされるためどうしても価格が低くなってしまう。
 ・一般競争へ移行の流れにより、地元中小零細企業の受注激減が懸念される。