印刷燦燦
病める現代社会

理事 加藤 憲一
有限会社加藤印刷代表取締役社長

 一昨年の12月、中島公園近くの路上で若い女性がストーカーに襲われ命を落とした。彼女は東京で暮らしていてストーカーと知り合った。ストーカー男に一方的に好きになられ付き纏われた。彼女は札幌に帰って来たが、ストーカー男が札幌まで追って来ての犯行であった。
  週に二日、ススキノでホステスのアルバイトをしている美香(仮名)は、25年前に父を亡くした。20歳の時だった。OLをしていた美香は、家族の為に夜ススキノでアルバイトを始めた。美人で可愛らしい美香はすぐに売れっ子になる。22歳の時ススキノで店を出した。ススキノで一番若い美人ママということでテレビにも出演し店は繁盛し、すぐに二軒目の店も出した。だが15年目に店を閉めることにした。人間関係に疲れて昼間の仕事に戻った。5年が過ぎ、美香は週に2日ススキノでアルバイトを始めることにする。
 美香のアルバイト先の店に、昔馴染みの客が50代後半の男とやって来た。男は美香を見た途端に一方的に美香に恋をした。次の週に男は一人で店に来て、美香に交際を迫った。美香には恋人がいる。すぐに男の申し込みを断る。男は諦めない。美香の出番の日に必ず店に来て交際を迫った。美香は怒り、店に来るなと言った。男は美香が店を終えるのを店の外で待った。美香が出て来ると男は必要に交際を迫る。美香は断り、歩き出した。男が後を付けて来るのが分かった。美香は走って知り合いのママの店に逃げ込んだ。ママと二人でビールを飲んでいると男から電話が掛かって来て、1階のコンビニで美香の出て来るのをいつまでも待っていると言う。美香は恐ろしくなり、ママの案内でビルの裏口から逃げて違う店に避難する。やがて店を終えたママもやって来て二人で飲んでいるところに男から美香に電話が掛かって来た。夜中の4時を廻っていた。美香は男にそのビルにはもう居ないと告げた。家でもう寝ていると言う美香の後でカラオケの歌が流れていた。
 道東のある町に住む昭一(仮名)は、ある団体の組合員で、その父もその組合員であった。父は皆に好かれ、役員で講師もしていた。昭一は父を超えようと思うが、皆には認めてもらえず焦っていた。大好きな組合であった。昭一は自分を認めてくれない組合に対して怒りを感じ、役員をメールで非難した。父は皆の幸せを願い、昭一は自分の幸せを願った。今日も父との違いに気付かず非難メールを送るのであろうか?
 3人のストーカーに共通するのは友達が無く、淋しい人生の悲しい男達かも知れない。

BACK