印刷燦燦
「歴史の重み」

理事・オホーツク支部長 松井  丈
株式会社北研社代表取締役

 私の住んでいる網走市は、明治5年から本年で開基138年、私の所属する網走消防団は117年が経過。会社は、創業60年。そんな中、網走にある郊外の地域(部落)が最近100周年を迎え記念式典を挙行するところが増えている。極寒の地に開拓の鍬をおろし3代・4代に亘り風雪に耐え今日の繁栄を築いてきたのである。100年という歴史に思いを馳せる。
 印刷業という仕事柄、100年記念誌を頼まれ式典に招かれる。そこで嬉しい事に発刊の功により感謝状を頂く事が多い。印刷の仕事に携わり人々の役に立てた喜びの瞬間である。朝礼で社員に報告し休憩室の壁にまた1枚掛ける。
 以前は、式典に間に合わせて発刊していたのだが、100周年記念誌は式典終了後その様子も入れて発刊される。どこの地域もそうである。何故なのか聞いてみると、「今までは、50周年、60周年、75周年、80周年…と実施してきたが、100年の次は150年か200年だべさ、だから分からなくなる前に記念誌に入れるんだ。…それに、50年後なんかうちの区は人がいなくなり無くなるかも知れんもの」100年の歴史の重みが過疎化の波に呑まれそうで切ない。そういえば、以前は網走の人口を聞かれたら、4万3千人ですと言っていたのが、最近は4万人を少し切りましたと言っている自分を思い出した。
 北海道では、100年という歴史の重みだが、本州に行くと一変する。
 一昨年、次女が栃木県K市の米農家に嫁ぎ、札幌ドーム何個分か分からない見渡す限りの田んぼの中で、可愛い婿さんに「何十年お米を作ってるの?」と聞くと、「僕は13代目で300年は超してますね」と言われ、一桁違う答えが返ってきてびっくり!本州の歴史の重みにパニック。
 ところが上には上があるもので、今年の1月10日に網走と友好都市の神奈川県厚木市消防団の出初式に招待を受け行ったときの事。2日目に観光でもと隣の伊勢原市の大山阿夫利神社に連れて行かれた。神主さんに「何百年くらい経つのですか?」と質問すると、「そうですね、創立は第10代崇神天皇の頃ですから約2200年ですか」ウッ……。
 印刷は、そんな様々な歴史の重みを伝える仕事である事を誇りに思い300年後、2200年後の網走を想像してみたが…。
 来年の「北海道情報・印刷文化典オホーツク大会」で網走に来られたら、是非、139年の歴史に触れてみて下さい。

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