広めよう!メディア・ユニバーサルデザイン
 全日本印刷工業組合連合会では、2002年から「印刷におけるバリアフリー」をテーマにして主に色覚障がい者の方々に見やすい印刷物の普及に努めてきた。2007年からは「色の使い方」だけでなく、「デザイン」「文字の使い方」などにさまざまな配慮や工夫を加えるとともに、印刷物だけでなくホームページ・看板・サインなどの分野で誰もが使いやすく、見やすい情報の提供をめざすメディア・ユニバーサルデザイン(MUD)として活動の分野を拡大している。

メディア・ユニバーサルデザイン(MUD)
■ハンディキャップのある人に社会を合わせる
 ますます多様化する情報社会にあって、伝えたい情報を正確に伝えることが大切である。
 これからの高齢化社会では高齢者への配慮はもちろん、障がい者や子どもなど、すべての生活者への配慮も求められてくる。
■同じように見えていない人やわかりにくいと感じる人がいる
 「メディア・ユニバーサルデザイン(MUD)」とは、誰もが安心して利用することのできる施設や製品の設計(デザイン)を目指す「ユニバーサルデザイン(UD)」の考え方に基づき、カレンダーや地図・案内板・ホームページなどにおいて「文字の使い方」や「色の使い方」に配慮や工夫を加えることにより、見やすい印刷物を中心とするさまざまなメディアを提供し、より良い社会環境づくりに貢献することを目的とする考え方である。
■印刷会社から広げよう やさしさ・思いやり
 全印工連では、情報産業の中枢にあり、“文字・色・デザインを専門に取り扱う業界”として、その社会的役割と使命から「メディア・ユニバーサルデザイン(MUD)」への取り組みを必須のものと捉え、広く一般社会に対してMUD活動の意義と必要性をアピールし、全ての人に隔てのない優しい社会環境づくりに積極的に寄与する運動を展開している。
「メディア・ユニバーサルデザイン」制作のポイント
■文字について
 文字の使用については、次のことを念頭において制作を行う。
(1) できるだけ大きいものを使う。A4サイズの印刷物の場合は12ポイント以上が適正とされている。
(2) 行や文字の間隔を詰め過ぎず、余裕を持たせる。
(3) 太さが均一で文字のつぶれが少ないゴシック体を用いる。
■色について
 高齢者・弱視の方・色覚障がい者にとって見分けづらい色の組み合わせは避け、隣接する色に明度差をつけて見やすくすることが必要。
(見分けづらい色の組み合わせ例)
(1)赤と緑、(2)青と紫、(3)水色とピンク、(4)黄色と黄緑、(5)赤と焦げ茶、(6)オレンジと緑、(7)彩度の低い色同士の組み合わせ(明るい灰色と淡い水色、灰色と淡い緑など)
■「技法」について
 色以外の方法で識別を容易にするには次のような方法がある。
(1) ハッチング(色を塗った部分に「柄」を加えること)を使う。
(2) 色名や文字、記号を併記する。
(3) 線の太さや線種などを調整する。
(4) グラフを作成する際、凡例はグラフに直接するか引き出し線を用いる。
(5) 種別で形を変える。
「Vischeck」という色覚シミュレーションソフトがwebから無償でダウンロードできるので、それを使って調整すると色づかいへの配慮が行き届いた製品を製作できる。(Yahoo!で「Vischeck」と検索し「Vischeck:Home」の右側にある「このページを和訳」と書かれているところをクリックしてダウンロードできる)

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