実践!業態変革 ワンストップサービスで収益拡大へ
平成20年度第1回全道委員長会議、
上期北海道地区印刷協議会、経営者研修会
 平成20年度第1回全道委員長会議、同上期北海道地区印刷協議会が、6月13日午後1時から札幌市中央区の札幌パークホテルで、全日本印刷工業組合連合会会長の水上光啓氏、同専務理事の武石三平氏、全国青年印刷人協議会議長の臼田真人氏を来賓に迎え、全道から委員40余人が出席して開催された。
 また、全体会議の中で、経営者研修会として、全日本印刷工業組合連合会会長の水上光啓氏を講師に「実践!業態変革 ワンストップサービスで収益拡大へ」に向けてをテーマに講演が行われ、委員と組合員80余人が聴講した。

〔全体会議・北海道地区印刷協議会・経営者研修会〕
 最初に、岡部康彦理事長から、「紙の値上げで印刷業界が揺れ動いているが、理事会で何ができるかを討論し、最終的に北海道新聞に全5段の意見広告を載せることを決定した。みなさんから預かっている大事なお金を有意義に使うには、それが一番いいだろうということになった。あまり過激な文章は書けないが、紙面をお客さまのところに持って行き、切実な実情を説明して、価格転嫁をしてもらえるようにがんばっていただきたい」とあいさつが述べられた。
 次に、3人の来賓紹介が行われた後、経営者研修会に移り、全日本印刷工業組合連合会の水上光啓会長を講師に、「実践!業態変革 ワンストップサービスで収益拡大へ」に向けてをテーマに講演が行われた。
 水上会長は、「まず組合自体の原点回帰を掲げ、賦課金を支払っている組合員が主役であり、(1)連帯(2)対外窓口(3)共済という組合の基本的な機能を高めていく考えを示した。
 業態変革については「新しいチャレンジをしなくては生き残れない。エンドユーザーが変化しているから、クライアントも変化している。われわれが変化しなくては生き残れるわけがない。業態変革実践プランで、よりきめ細かく業態変革のロードマップを提供したい。印刷業界が永遠に強い業界だと信じている。コンピュータ化がどんどん進んだ社会になると、もっと効率化されるが、印刷業は産業として残っていけると信じている。感性を大切にしていきたい」と、自らの思いを訴えた。
 そのうえで、「変革の最優先課題は人材。差別化は人でしかできない。印刷業界は設備志向だったが、人志向、ソフト・サービス志向でなくては生き残ってはいけない。制作がデジタル化をしても、人が深くかかわる。ソフト・サービスは印刷業の永遠の課題だが、印刷の常識が世間の常識になってはならない。印刷では大きな付加価値は付けられないが、付帯サービスを少しずつ広げればとてつもなく可能性がある」と、人材を活用し、ワンストップサービスの実現などによって顧客との信頼関係を構築していく必要性を示した。
 そして最後に「経営者の責任は重大。チャレンジし続けなくてはいけない。どんな時も、情熱を永遠に持ち続けなくてはいけない。一緒に情熱を持ち、大きな変革にチャレンジしようではないか」と呼び掛け、10月の鹿児島大会で発表する業態変革プランの活用を勧めた。
 つづいて武石三平同専務理事から、全印工連の基本方針、実施事業などを説明され、積極的な参加を呼び掛けた。
〔委員会〕
 組織・共済事業、経営革新・マーケティング事業、教育・労務・環境事業、青年部事業の4委員会に分かれ、(1)平成20年度事業推進について、(2)意見交換、(3)委員会意見集約、(4)全印工連要望事項集約についての討議が行われた。
〔総括会議〕
組織・共済事業委員会 
発表者 板倉 清氏(札幌支部)

・組織の拡大については厳しい意見が出た。それは一番組合員数の多い札幌の問題であるのでそこで十分討議をしてほしいとの意見であった。もっともな話で未加入業者の多い札幌で集めていくのが一番いい。賦課金の均等性が図られていない問題もあるのではないか。この問題も今後取り上げていく必要があるのではないかという意見もあった。
・共済事業の参加促進を図っていく。各支部でキャンペーン化をして加入の促進を図っていきたい。
・8月の十勝大会は全員でフォローしていく。

経営革新・マーケティング事業委員会 
発表者 加藤 景氏(札幌支部)

・メディアユニバーサルデザインの普及・啓発については、武石専務理事から各県の取り組み状況や実績について説明があった。高齢化社会を踏まえてビジネスチャンスでもあり、差別化につながるのでセミナー等を積極的に行いたい。同時に、今後営業マンのツールやテキストが作られてくると思うのでその進捗状況を周知してほしいとの意見があった。
・十勝大会に多数で参加する。
・「北海道の印刷」が毎月発行されている。企業間情報や技術の情報であったり、ソフトウエアの情報であったり、北海道の中で具体的な業態変革の事例等を掲載してほしい。その情報を知ることでビジネスマッチングができたり、コラボができるようになるのではないか。室蘭支部ではインターネットを利用した受発注システムをソフトハウスと組んで構築中である。そんな情報も載せて全道展開できるような情報発信の媒体にしていったらいいのではないか。
・用紙の値上げについて、各地区で時期、上げ幅がまちまちである。全道的な情報を知りたいという意見があった。用紙に限らず資材全般が上がっている状況なのでこれを機会にお客様に全体的にこういう事情なので協力いただけないかという働きかけを組合として行ってほしいとの意見がでた。
・組合も、良いものは残し、新しいものをどんどん取り入れ、要らないものは取り除いていく動きが具体的に必要である。

教育・労務・環境事業委員会 
発表者 武田憲一氏(札幌支部)

・環境がなかり変わってきているので、どれが正しくどれが拙いのかということがなかなか判断がつかない。経営者としても判断に迷うところがあるので、経営者の懇談会を継続的に続けていってはどうかという意見がでていた。
・人材教育という部分で、営業マンに向けての研修で、パソコンがいろいろ形で使われており、お客さんも使うし、我々業者も使う。営業マンがお客さんの言っているパソコン用語が理解できない。また、お客さんはあまりパソコンが得意でないがこういうものが欲しいというときに営業マンがお客さんの考えているものを絵に書いてみせる能力等、いろいろなことが問われている。そういうことも含めて営業マン向けにコンピュータ関係のセミナーを開いてはどうか。それと合わせてオフセット印刷の技能検定を行い高品質のものを提供していく。
・労働環境整備の啓発、環境保全適応の啓発は、洞爺湖サミットがあるので、特に環境については皆さん関心を持っていると思うので、そのことについてもできる限りやっていこうという意見がでた。

青年部事業委員会 
発表者 岸 昌洋委員長(札幌支部)

・今期、全青協は業態変革実践プラン−進化のエボリューション2010−メディアサービスという名称で事業を行い、業態変革を実践していく。事業テーマは拡印刷・脱印刷−感性価値創造業への挑戦−として行う。事業の内容は大きく分けて2点考えている。1つは拡印刷・脱印刷−感性価値創造業への挑戦−を日本全国で実際に業態変革を行っている会社100社を集め、100社を紹介するナビゲーションツール(本)を作ることを2年間かけて行う。もう1つは経済産業省の施策のなかに感性価値創造イニシアティブがある。これと連携して海外市場開拓を目標とした事業を行う。経済産業省のメディアコンテンツ課とタイアップして日本市場はもちろん国外に向けた印刷物をどのように作っていくかの取り組みを行う。

 各委員会の意見発表に対して、岡部理事長・全印工連水上会長、同武石専務理事からそれぞれ感想所見が述べられた。

岡部理事長
・組織の拡大は永遠のテーマである。組合員が減って行くなかでどうやって増やしていったいいのか。今回、札幌支部長が代わられ非常に張り切っているので、札幌支部を中心に自分達の仲間を増やす方法を考えていただきたい。最近はジャグラの方が入るという動きもでてきている。北海道の組合員が増えるように私自身も頑張っていきたい。全国的にみると組合員数では東京、大阪、愛知に次いで4番目である。全体では善戦をしているはずであるが、増やすように頑張っていきたい。
・メディアユニバーサルデザインについては、昨年コンテストがあり、北海道から正文舎印刷が入賞している。今まで全青協で行っていたものを今年から印刷工業組合で受け持つことになった。組合員全社でMUDが取り組めるよう勉強会を開催していきたい。
・十勝大会は8月8・9日に帯広市で開催されるので多数の皆さんの参加をお願いしたい。
・「北海道の印刷」の内容をもう少し吟味したらどうかということで、企業間の情報、ワンストップサービスの成功例を載せたらどうかということであるが、鹿児島大会で実践例等が発表されるので、それらの情報発信を早く行うようにしたい。ページ数が限られているので優先するものもある。最近では浅野前会長の講演録を載せて参加できなかった組合員にも情報発信をしている。
・経営者懇談会を開催してほしいということであるので検討してみたい。
・営業マン教育は、全印工連で新しい研修を企画しているので、その中から営業マン向けのものをどこの支部での開催になるか分からないが実施していきたい。
・青年部の活動が活発になってきている。若い人たちが大いに考えて実行していくことを期待している。

水上全印工連会長
・大変長時間本当ご苦労様です。いつも私は思うが印刷人は本当に真面目である。この真面目さは絶対生かしていきましょう。インターネットは不真面目である。我々は堪えず納期、原稿、校正ときちんとルールを守ることが印刷に基本であり、これは是非守らなければならない。インターネットは校正はない。とにかく載せておけばいい。そんなものとまともに戦わないようにするということで進めたい。今、まさに真面目な4つの委員会からの発表を聞かせてもらった。それぞれの委員会から貴重な意見、提案をいただいた。真摯に受け止めたいと思う。基本的な部分は本部に持ち帰り検討させていたただきたい。
・本当の仲間なのでこうやっていろいろな皆さんと情報交流のできる場を大切にしていきたいと思う。もっともっと情報の流れをスムーズにしていきたい。私たちは印刷産業であるが情報の流れが余り得意ではない。もう得意ではないという時代は終ってしまったので是非皆さんと同じ一緒の場面で話をして本部と皆さんとのギャップがないようにこれから丁寧な本部の運営をして皆さんの流れを埋めていきたい。皆さんの話を聞いていると多分そういうことだと思う。それぞれ今大変厳しい環境の中で要望ということがある。資材の高騰であったり、環境であったり、財政であったり、雇用であったり、その問題は殆どエンドレスに出てくる。我々は皆さんと同じ目線で一緒に勉強して解決する努力をすることが基本的に第一にやらなければならないことだと思っている。当然皆さんも一生懸命勉強しているから皆さんの関心、内容も広く鋭いものがある。その中で組合が物足りないといわれないように組合もタイムリーに皆さんに情報を提供するようにしていきたいと思っている。全印工連は7,000社ある大きな組織で、決して一部の人、一部の層の代表ではない。皆さんの意思をまとめて活用して皆さんの有意義になるような組織を作っていきたい。そのためにこうやって勉強する。その勉強をさらに活用して連帯の輪を広めていければと思う。

武石全印工連専務理事
・北海道は全国で4番目に組合員の多いところである。組合員が多いということは逆にいうとそれだけアウトサイダーも数が多いと思う。組合のメリットはいろいろ言われるが、組合のメリットを考えるとたくさんあると思う。ただ我々はそれを普段空気のように感じているのでそれを身近なものとして考えられない。先ほどの委員会で組合は最後の防波堤だということがあった。どのことでも同じであるが失ってはじめてあって良かった、あってありがたいと感じるのではいか。組合を大切にしていきたい。そのためには一人一人の組合員がメリットを追い求めるのではなくて、逆に自分は組合にこういう情報を提供できる、仲間にこういう情報を提供できるということを考えていただけたらと思っている。組合員同士のいろいろな情報交流が経営に生かされていくし次のステップに移っていくと思う。用紙の値上げについても価格転嫁ができないような業界ではいけないと思う。力関係はあるが、受注体質がどちらかというと私たちは体に染み込んでいる。印刷会社に値段を叩けばまけてくれる。そんな体質を我々も染み付いているのではないか。決してそんなことはない。お客様に胸を張って適正な料金を請求する。これは商売として当たり前である。今回の値上げについてもコストアップの分はきちんとお客様にご理解をいただく、その説明の努力をすることが第一歩だと思う。組合がやるあるいは他のところがやってくれるではなく、先ずお客さまのところに足を運ぶことが第一だと思う。私たちは仲間がたくさんいるのでいろいろな仲間の情報を聞きながら力を合わせてやっていくことが組合の大きなメリットだと思っている。
・8月の十勝大会で大きな活力をいただいて組合の明日を作っていきたいと思う。


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