第8回 
『高年齢者の雇用と助成金等』

 助成金については多かれ少なかれ耳にしたことはあると思います。なんといっても融資ではないので返済の必要がないことや、また「知らなければ損をする!」というようなタイトルの営業ツールとして使われていることが多いようです。
 助成金は、制度改編を繰り返す時限制度がほとんどですので、昨年まで使えた助成金が今年は申請できないというようなこともあります。例えば、この「70歳まで働ける企業」創出事業と関わる助成金「中小企業定年引上げ等奨励金(70歳まで働ける企業奨励金)」が平成19年4月より新たに開始しました。
 これは平成19年3月末に終了した「継続雇用定着促進助成金」が法改正に伴い新しい制度へ移行したといってよいでしょう。
 先日実施したこの事業に関する相談会では、助成金等の説明会で聞いて来ましたと資料持参で何人か尋ねてみえました。その1人の方は考えていた以上にハードルが高いと溜息をついていました。
 そこで、今回は「中小企業定年引上げ等奨励金」の助成金を受給するための主なルール等を整理してみました。受給可能なものであれば是非申請に向けて検討して見て下さい。
助成金を受給するための原則的なルールと留意点
中小企業定年引上げ等奨励金 ……  65歳以上への定年の引上げ又は定年の定めの廃止を実施した中小企業事業主に対して、企業規模に応じて一定額が1回に限り支給される。(70歳以上への定年の引上げ又は定年の定めの廃止を実施した場合は、上乗せ支給される。)
要 件
労働保険に加入している
 労働保険料の納付がなされていなければなりません。
労務管理が適正に行われている
 (1) 労働者名簿、労働契約書があること
 (2) 出勤簿や賃金台帳があること
 (3) 就業規則等を整備すること(10人未満の事業所は、それに代わるもの)
受給可能な助成金でも事前に要件チェックを忘れない
 (1) 高年齢者雇用に関する助成金、奨励金を検索確認する
 (2) 中小企業定年引上げ等奨励金申請するための要件を確認する
例えば ※ 65歳以上への定年の引上げ又は定年制を廃止した事業主であること
※ 上記を実施した日から起算して1年前の日までにおいて60歳以上65歳未満の定年が定められていること
※ 助成金の申請日の前日において、1年以上継続して雇用されている60歳以上65歳未満の雇用保険の常用被保険者が、1名以上いること等など
助成金にはそれぞれ申請期限等がある
 実施日の翌日から起算して1年を経過する日までに申請してください。
 期限を忘れてしまうと申請できなくなります。また用意する添付書類も必要です。
注 意
 過去に継続雇用定着促進助成金の支給を受けている場合は、「中小企業定年引上げ等奨励金」は受給できません!!
 (ただし、65歳以上への定年の引上げ又は定年の定めの廃止の実施以外の事由により支給を受けている場合は上乗せ支給分のみ受給できることがあります。)
☆ ワンポイント !!
 「中小企業定年引上げ等奨励金」の詳細につきましては、先月号に北海道高齢・障害者雇用促進協会からのご案内が記載されていますのでご覧願います。
小松社会保険労務士事務所 社会保険労務士 小松勢津子

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