平成19年度第1回経営者研修会
「大きな変革の中で」
富士フイルムグラフィックシステムズ株式会社
               代表取締役社長
吉 田   整氏
 平成19年度第1回経営者研修会が、6月8日午後1時から札幌市中央区の札幌パークホテルで富士フイルムグラフィックシステムズ株式会社代表取締役の吉田整氏を講師に迎え、「大きな変革の中で」をテーマに90余人が参加して開催された。
 以下、講演の内容の抜粋を紹介する。(文責:編集部)

はじめに
吉田 整氏
 今日は「大きな変革の中で」というテーマで話をさせていただく。全印工連が提唱している7keys&5doorsがあり、これは非常に大きな題で大きなところから物事を見ているが、私どもFFGSの改革は少し小さいところで落としたものがある。一応7keys&5doorsと思っている。この中から少し話をさせていただく。FFGSは元々オフセット印刷だけを中心に商売をさせていただいた会社である。今日はサンプルも持ってきたので少し他の印刷系の話もさせていただく。私どもは商材自体を今開発している状況なので皆様が私よりもっと深くご存知のこともあるかと思う。その点はお許しいただきたいと思う。
富士フイルムグループとFFGSの「改革」
 先ず、富士フイルムが大きな変革の中でということで、昨年の10月に富士フイルムとゼロックスが一緒になり富士フイルムホールディングスという会社を作った。両方の会社を相乗効果として銀塩フイルムの減少に対してどう捉えていくかは、新聞でもいろいろとありとあらゆるところで出ているので、ここで改めて話をするのはダブってしまうと思う。
 私どもの会社も4年前に富士フイルムグラフィックシステムズとして設立した。その後4年間行ってきたことについてもいろいろな形で皆さんに紹介してきているので割愛して話をさせていただく。
我が社の7keysと5Doors
 最初に7keys&5doorsの中で、私どもが一番関心の高いのは人材教育についてである。7keysの次の世代を作る人材戦略と5doorsの社内環境の整備、よりよい会社とはということである。私どもの会社も4年前に出来たときに同じベクトルに向けるにはどうしたらいいかということで、強い人材を作ることが必要と考えた。いろいろと教育をしたり、EMS、ISMSということを始めた。最初のうちはどのように手を付けていったらいいのか手探り状態であった。いろいろなところのコンサルタントを呼んで仕事をしていった。人材教育というなかで印刷会社の社長さんと話をしていたら、我が社は人が育っていないとか、課長はいいが部長層の伸びがないとか、あるいは部長層はいいが課長層が伸びないとか、各社各様に人材の教育や強い人材をつくるにはどうしたらいいのかと悩んでいた。私どもの会社も同じような悩みがあり、最初のうちは富士フイルムに人材教育という部門があったのでそこから人を派遣してもらい課長になる前、部長になる前の人材教育を行っていた。
LPD研修
富士フイルムビジネスサプライ
「7keys&5Doors」
<7keys>
1. 現在、自社のおかれている環境の徹底した分析、市場・顧客・競業動向・チャネル・自社の分析
2. 社内・社外へのリサーチ、社員の意識・社外からの評価
3. 新しい会社づくりの組織戦略
4. 次の世代を作る人材戦略
5. デジタル化の進展による売上げの推移の予測
6. 新規事業進出のための投資
7. 世代を超えた環境対策
<5Doors>
1. 基幹事業の確保
2. 社内環境の整備 よりよい会社とは
3. 新たな成長戦略の構築
4. 従来と違うビジネスモデル・セールススタイル
5. 独自の商品開発・新規事業の確立・高付加価値化の創造
 その一つがLDP研修(Leadership Development Program)である。自己認知と他者認知が大分違うということである。100くらいの質問について本人、部下、上司が答える。そうすると本人と部下、上司の見方に違いがでてくる。自己を気付かせることを行う。7〜8人グループで行うが客観的なことであるので大体5〜6人は気付いて自己反省をするが、中にはなかなか分からなくて部下が悪い、上司が悪いという人がいる。それを私どもが客観的なデータをもってお客様の経営者の方とこういう点に問題があるという話をさせてもらう。そこの気付きを見てもらい次の人材を作っていく。私どもの会社も実際に行い非常に効果があるということで、昨年全国20社からリクエストがあり150人くらいの方に対してLDP研修を実施した。お蔭様で好評で次もやってほしいという希望もある。私どもの会社もそうであるが最近は若い人間がきても、少し嫌だとか、部下がよくやっているのにあの課長が駄目、部長が駄目と言ってすぐに辞めてしまう。中間層をきちんと育てていくというのは私どもの会社にも悩みがある。私どもが力を入れて行っている研修である。
 富士ゼロックス北海道のコラボレーションプログラムがある。富士フイルムがゼロックスと一緒に大きな事業をやっていこうという中で、こういうものもゼロックスの方で提案させていただく。東京の方ではISMSの構築、プライバシーマーク、CSRの取り組み、コンプライアンスの取り組み、内部統制の問題等項目としてはかなりいろいろなものがある。一部無料で行ったりしている。FFGSと富士ゼロックスが一緒になっていろいろな教育を行っていることをご理解いただきたい。こんなことをやってほしいということがあったら申し込みいただきたい。
DTPエキスパート認証試験対策講座
 DTPエキスパート認証試験対策講座である。公開コースは東京に来てらい6回の講習を受けていただき165,900円である。これはいろいろなメーカーが行っている。出向コースは588,000円であるが、これはこちらが札幌なら札幌に出張して何回か講習をする。トータルの金額は588,000円であるが何人か集まると割安になる。お蔭様で私どものDTP講座の合格率が一般的には50%くらいであるが70%である。合格率が20%くらい高いのが私どもの取り得である。
 人材教育、内部統制、社内を強くする、DTP講座の企画等、ありとあらゆる講習について私どもが関わって、こういう仕事を通じて皆様方に貢献していきたいというのも大きな変革ではないが、小さな変革と思っている。
基幹事業の確保
 次に、業界の動向について私ども基幹事業の確立と新規事業の付加価値の創造ということで7keysの1.5.7番、5doorsの1.4.5で話をさせていただく。
 90年からデジタル化の波が押し寄せてきて、私どもも写真フイルムが減少していくという中でCTPが非常に増えてきた。私どもの会社が設立した時から現在までの4年間でどうなっているかをみてみるとCTP化率(従来のPS版生産量/CTPのPS版生産量)は、2003年4月はCTPの設置台数が全国で1,614台、2007年には3,570台になった。CTP化率が21%から66%まで伸びた。2003年にCTPが20%になったときに皆様方に今後どのくらいになるのか質問をされたときにアメリカがその頃60%に近いくらいで、日本はデジタル化でもアメリカに対して4年くらい後追いをするので4年後には60%を超すということを申し上げた。大体計画どおりというか予想どおりで現在66%である。新聞のCTPが2003年4月は3%であったが今は57.7%になっている。新聞の方が急速になったのが全体のCTP化率を押し上げている要因とも思われる。現像して印刷するという普通のCTP以外にも東レの現像処理はするが湿し水を使わない環境対応型の水なし平版、私どもの無処理版のETSが市場に入ってきている。
デジタル化の進展による予測
 資料として配布しているFGひろばの表紙はバリアブル印刷である。オフセット印刷でも納期短縮はできるが、1枚ずつ別の文字を印刷することができる。先般、テレビ東京のワールドビジネスサテライトという番組でオンデマンド印刷が紹介されたが、キャスター自体が個々に合わせて印刷するのは大変ですねということを言っていた。そういう意味ではまだまだバリアブル印刷は一般受けした商材になっていないと考える。オンマンド印刷はアメリカでは既に4兆円の市場規模になっている。2003年のアメリカの印刷物におけるウエイトが約11%であったが倍増して現在は約20%になっている。日本はまだ5,000億円以下の市場であるが、2003年に比べると今年で倍以上になっている。この市場はまだまだ伸びていくと思っている。当初はオフセット印刷にとって変わるというようなイメージでスタートされた方も多いが、決してそうではなくオフセットのメリットを生かしながら使い分けして融合していくような商材であり、新しい情報を作っていく。油性インキ、湿し水を使わないということで環境対応の一環としても注目されている。
新規事業推進のための投資
 私どもの新しい事業基盤ということでincaというワイドフォーマットのフラッベット式のUVインクジェットプリンターを発売している。これ印刷だけでなく、パッケージ、サインディスプレイ業界でも使えると思っている。日本では台数が少なく2003年には4台であったがここに来て15台になった。海外では北米で110台、欧州では130台になっているが。アジア、パシフィックではまだ少ないが、これからはUVインキを使った商材は環境問題もあり伸びていくと思われる。
 UV印刷に力を入れその周辺機材を扱い始めた。今、日本の枚葉機でUV装置が取り付けられているのは約800台である。今は国内で出荷されている枚葉印刷機の1割くらいに最初からUV装置を付けて販売されている。海外はUVとIR装置をはじめから付けている機械が圧倒的に多く、国内の印刷機メーカーが海外に輸出している枚葉機は100%UVとIRを付けて出荷している時代である。オフセット印刷というところでみれば、環境対応の観点からノンVOC、UVインキ、UVニスが注目されている。UV装置は日本のメーカーの印刷機であれば今ある機械の殆どに後付けできる。UV印刷機に変換することで仕事の幅を広げることが出来ると考えている。印刷機は東レの水なしを除いては湿し水を使わなければならないがVOCの問題は環境対応で難しい問題がある。平成18年から大気汚染防止法の改正に伴って全国的に厳しい規制がスタートした。
世代を超えた環境対策
 私どももノンVOCの湿し水を開発し、発売している。2003年は全体の量としてはそれほど多くなかったが、2007年は倍以上のスピードで伸びている。またテスト要望も多く、私どもの技術の者が応援していくかたちをとっていきたい。
 環境対応という面ではフレキソ印刷が注目されている。パッケージ印刷は今まではグラビア印刷が主流でグラビア印刷の皆様は環境対応を厳しく行って来られた。特に軟包装系についてはUVインキがノンVOC対応で注目されている。水性インキを使用すると臭いもなく食品関係とのコラボレーションも可能になってくる。フレキソの市場についても国内はまだ少なく、ワールドワイドで2003年にはフレキソの描画機設置台数が500台、日本では5台である。2007年はワールドワイドで1,200台、日本で25台である。国内では台数でいえば5倍であるが全体のパイからいうとまだまだである。インキの開発をインキメーカーが行っているがその辺の問題もある。一方レーザーで彫刻していくフレキソタイプもあり2003年で5台、2007年で15台。国内のフレキソの全体の版材としては1.3倍くらいになっている。東レの水なしと一緒にフレキソの版材も開発している。カラーマネージメントも良くなってきている。
 湿し水の問題もあり、水無し印刷はどのくらいになっているのかであるが、ワールドワイドには2003年から2007年で2.2倍増えている。国内は2003年から2007年1.2倍になっている。インキの問題、印刷機自体の問題で導入が進んでいないが、これから先、環境対応という面で伸びてくるのではないかと思っている。勿論、私どもの会社も水無しの版も必要であるし、ノンVOCの湿し水でもっともっと刷り易いものを開発していくことが私どもの責任である。
「改革」を推進するためのキーワード
 皆さまの会社でも単に価格競争だけでなく、価格がダウンしていくという負のスパイラルから脱却して付加価値を付けて行くとか、環境に優しい商材を作っていくとかいろいろな課題があろうかと思う。オフセット印刷あるいはそうでないところで変えていくのが変革という題材にあっているのかと思う。ほんの一部について話をさせていただいた。会社を大きく変えるためには人材が変わっていかなければならない。会社が変わっていかなければ印刷業界は変わっていかない。そいった中で私どもが少しでもお手伝いをさせていただければありがたいと思っている。我々もオフセット印刷業界だけでなく、違う業界の勉強もして皆様方にいろいろな情報提供をしていきたいと思う。

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