印刷燦燦
食文化の始まりは家庭に在り

副理事長、共済事業委員長、十勝支部長 角  鎮夫
東洋印刷株式会社代表取締役社長

 食べるということは本当に大事なことなのです。あたりまえの話しですね。ところが最近食べることに大きな変化が起きています。若者を中心に朝食を食べないということが増えてきています。これにはいろいろと考えられるのですが、例えば、夜更かしの結果朝起きるのが遅く朝食を食べる時間がない、朝は食欲がないといった理由が主な理由となっているといわれています。
 食は国を支える大事な文化ですが、日本の食生活はかなり危機的な状況にあるといっていいでしょう。日本食は健康食として欧米では人気が高いのですが、日本人は逆に日本食を捨て欧米型の食生活になっています。
 これは日本人の生活習慣や家庭環境の変化にあります。三世代同居の大家族から核家族へとなり、親から子へ、そして孫へと受け継がれるべき日本の食文化が伝わらなくなったのが大きな原因と考えられます。その結果料理のできない親が増え、子供たちに朝食を用意できないということが起きてきます。その親たちもインスタント食品やファストフード中心の食生活で自ら料理する習慣も失われつつあります。
 十勝にはたくさんの良質な食材や食品がたくさんあるのですが、この恵まれた食材を私たちはどれだけ使ってきたのでしょうか。こうした現状の問題をなんとかしようと、十勝ではスローフードや食育に関心をもつ人もたくさんいます。一昔前であれば食文化の継承は家庭の毎日の営みの中で普通に行われてきました。しかし、もう既に家庭での食の継承が困難になっています。このままでは日本の大事な食文化が失われてしまうという危機感から、政府は食育基本法を(平成17年7月)に施行し、続いて食育推進基本計画(平成18年3月)を策定しました。これは、地域社会全体で食文化を守り、次世代を担う子供たちに伝え守っていこうとするものです。
 食育基本法の目的として「国民が健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむ食育を推進するため、施策を総合的かつ計画的に推進すること等」とあります。つまり食文化を考え、毎日の生活に食べることの大切さを取り入れていくことで、健康な体と豊かな心を育てていこうとするものです。食育推進基本計画の中で、これから進めていかなければならない点として、家庭、学校、保育所等、地域における食生活の改善のための取組を掲げ、さらに生産者と消費者との交流の促進、環境と調和のとれた農林漁業の活性化を進めるとしています。
 十勝を始め北海道にはたくさんの優れた食材や食品があり、素材そのものだけでも十分においしいのですが、それに工夫を加え調理することでさらに美味しくなっていきます。
 来年の夏に、全道から印刷人がここ帯広・十勝に集い、いろいろなテーマの情報交換が行われます。北海道の優れた食材や食品を家庭の食生活の中に生かしていく役割の一旦を印刷業も担っていると思います。ぜひ来年は帯広に来ていただき名物の豚丼や地場産の材料をふんだんに使った、乳製品、お菓子、パンなどを存分に味わっていただき、一緒に食文化を考え直すきっかけにしていただければと思います。

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