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住民自治モデル地区

常任理事・南空知支部長 小川 孝成
株式会社組合印刷代表取締役社長

 平成16年4月、北海道新聞の空知版と思ったが、“岩見沢市で地域住民自治構想”が大きく掲載された。その日の市役所の担当者は、終日「これは、どういう事なのか」との市民からの問合せの電話が鳴りっぱなしだったそうである。私も無論、その意とするところは理解できなかった。
 岩見沢市長を交えての懇談会や地域の人たちの研修会も相当数行って、何となく住民自治の姿を漠然とではあるがつかめたような気がした。
 昨今、地方自治体も財政の悪化に歯止めが掛からず、今までのような一律の住民サービスは不可能となってきている。行政内部の機構やシステムの改革を含め、地域住民自らが求めるまちづくりに対し、効率的に、自由度の比較的高い資金援助を行うという施策である。
 一昨年の2月、市役所から私が住む緑が丘地域が「住民自治モデル地区」の指定を受けた。北海道では、未だ成果の顕著なところがない試行錯誤の道のりが続いているのが実態である。今はやりの「特区」らしきものである。
 私が緑が丘共和国委員会という住民自治組織の会長を受けることになったが、この2年間、行政主導のメニュー付の活動から少しは抜け出し、地域の特性を生かした事業展開を進めてきた。しかし、口で言うほど簡単ではない。50年以上にわたって、どっぷりと浸かってきた補助金という名の下請け料金により、市内全ての町内会が同じような内容で活動してきたものを、今になってまちづくりの個性を求め、責任を私たちに転嫁するのかという意見が結構あるからである。
 この岩見沢は、道内でも有数の豪雪地帯として知られている。雪対策が冬の生活環境を左右する地域でもある。しかし、市役所は除排雪予算の増額は困難である。そうなると、更に快適な冬の住環境を求めるならば、そこの住民自らが、自らの資金により雪害を解決するしか方法はない。今冬からモデル地区の名に相応しく、地域内全ての居住者より戸割りで排雪費用を頂き、2回の排雪をやることになった。勿論全員賛成というわけにはならなかったが、今冬の実績をみて次年度以降再検討の余地を残した。
 住民の意思による、住民のためのまちづくりは理想像ではあるが、“勇気”と“大きな情熱”が必要である。住民自治最大の事業は人づくりから始まる。

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