第27回北海道情報・印刷文化典旭川大会

記念講演「柳家小三治師匠とその一門」

8月17日(土)午後1時15分開演・旭川パレスホテル


 大きな大会に記念講演はつきものである。最近の講演では「夢千代日記」の早坂暁氏のが感動的であった。遣唐使が持ち帰った仏典は日本に漢字をもたらし、日本人の智恵と感性で平かな、片カナが作り出され、印刷技術を日本文化として育てあげた、という内容でアナログとデジタルを対比させたお話であった。旭山動物園の小菅園長の公園は動物たちの夫婦関係、親子関係を語ってくれた。北海道印刷業者大会では釧路の丹頂鶴の生態、その他歴代いい講演に恵まれた。
 さて今夏、旭川で開催される第27回北海道情報・印刷文化典での講師選定にはいくつかの回り道があった。市民に公開する講演会にふさわしい講師として何人かの候補があげられた。その都度アドバルーンをあげてみたが、いずれもちょっぴりの難点があってどんぴしゃりといかなかった。
 そんな時、市民の要望の中から浮かび上がったのが噺家の柳谷小三治師匠である。相手は売れっ子の芸人、めっぽう忙しく、ギャラの相場も手の届かないレベル。ダメもとでお願いしてみたら、案ずるより易し、快く引き受けてくれることになった。当たり前の話をする人は大勢いるがこころに響いて、しかも不況を吹き飛ばすような笑いを生み出してくれるのはこの人しかいない。小三治師匠は全国あちこちで独演会を開いている。それをまとめた本「ま・く・ら」が講談社から発行されている。その中には「めりけん留学奮闘記」、高田馬場の自宅に居ついたホームレスとの友情を描いた「駐車場物語」、北海道の広さを謳う「バイクは最高」、どれをとっても心暖まるユーモアとペーソスに満ちあふれている。俳人でもある。人としての魅力、含蓄ある話芸が期待される。寄席に行くと高い入場料がかかるが、今回は皆様からお預かりした経費で賄うから当日は無料である。タダほど高いものはないというのはよその話。金の心配なくして楽しめるのはこの時だけ。社員さん、ご家族お揃いでぜひ旭川においで下さい。

(旭川支部・則末)

プロフィール
柳家小三治(やなぎや こさんじ)
1939年東京・新宿生まれ。
1955年都立青山高校入学、落語研究会に入部。「しろうと寄席」で頭角をあらわす。
大学一浪中、両親の猛反対を押し切り、1959年五代目柳家小さんに入門。1969年真打昇進、十代目柳家小三治を襲名。以来、古典落語の本格派エースとして活躍。
第31回芸術選奨文部大臣新人賞、第54回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
オーディオ、クラシック音楽、オートバイ、スキー、カメラ、ゴルフ、俳句、旅など多趣味。現在落後協会理事。


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