北海道庁の印刷発注最低制限価格制度・地元中小企業優先発注
本年1月から実施

 北海道印刷工業組合では、平成15年度事業計画の中に「官公需取引の研究」を盛り込み、最初の取り組みとして、北海道庁の印刷発注について最低制限価格制度の導入ならびに地元企業優先発注などを求め運動を展開して来ました。
 この運動が実を結び、本年1月5日から、北海道庁の「本庁の物品購入事務処理方法書」が、改正、施行され、北海道庁本庁における印刷物の発注については、これまでの定時見積に加え、競争入札、指名見積が追加され、全ての印刷発注について最低制限価格制度(予定価格の70%)適用されることになりました。
 また、同時に原則として「道内に本店を有する」という北海道内企業への優先発注と中小企業者等に対する受注機会の確保に関する推進方針に基づき中小企業者(資本金3億円以下並びに従業員300人以下)への優先発注が明文化されました。
 当組合としては、次のステップとしてこれを全道の14支庁ならびに出先機関にも拡大していくため、本年1月9日開催の理事会において、(社)日本グラフィックサービス工業会北海道支部と協調して要望活動を行うこととし、「印刷発注に関する要望書」を決議し、1月13日に北海道出納局を訪問し要望を行いました。
 今後は、各支庁・出先機関をはじめとして全道の各市町村に拡大していく予定です。

印刷発注に関する要望書
北海道出納局長  中 島   昇 様
印刷物発注に関する要望書
 現下の中小印刷業界は、ご高承のとおり、長引く不況の影響を受け、先行きの全く見えない厳しい状況下におかれております。
 景気の後退による広告・宣伝費の削減、商店街の衰退、出版業界の低迷、ITの推進、さらには業務の海外流出など民需は激減の一途を辿っております。
 また、その一方、グリーン調達、ISOの取得など標準化・環境への対応、さらにはISMS、プライバシーマークの取得などのセキュリティーへの対応等、新たな問題への対応を迫られるという状況を抱えております。
 このような中で、最近は国や地方自治体との契約、いわゆる「官公需」に目が向けられ、不良・不適格業者による破壊的な低価格によるダンピング競争が繰り返され、どう考えても適正な利益を生み出すことが不可能な目を覆いたくなるような低価格での落札が増えてきております。
 つきましては、適正な競争による入札ならびに地場中小印刷業の育成、雇用の確保拡大などの観点から印刷物発注につきまして、次の事項について要望いたします。
1.競争入札、指名見積における最低制限価格制度の導入
 印刷物の競争入札、指名見積及び定時見積においては、適正な積算により「予定価格」を設定され、実施されているなかで、昨今の状況では原材料や製造コストを下回っており、業界では考えられない、常識外れの落札価格によって発注が行われております。
  道庁におきましては、平成16年1月よりこのダンピング行為を排除し、業界秩序の維持と適正取引確保のため、「最低制限価格制度」を導入することとなりましたが、この制度が全道14支庁並びに各出先機関にも適用いただけますよう要望いたします。
2.北海道内中小印刷業者への優先発注
 印刷物の発注にあたり、税の還流、地場産業の育成、雇用の確保拡大等の観点から北海道内中小印刷業者への優先発注を要望いたします。
3.印刷物とWebコンテンツ(PDF・HTMLなど)のデジタルデータ作製の一体発注
  印刷物と同内容のものをWebコンテンツ(PDF・HTMLなど)として作製する場合において現在は分離分割発注になっていると存じます。印刷業界でもこれらWebコンテンツの作製は十分に対応ができます。自治体経営の効率化ならびに発注担当者の事務量の軽減等の観点から、印刷物とWebコンテンツ(PDF・HTMLなど)のデジタルデータ作製の一体発注を要望いたします。
平成16年1月13日
北 海 道 印 刷 工 業 組 合
理 事 長   岸    洋
社団法人日本グラフィックサービス工業会
北海道支部長   福  島  博  志