年頭あいさつ

年頭にあたって

北海道印刷工業組合
理事長 岸   洋

 明けましておめでとうございます。
 皆様にはご壮健で新しい年をお迎えのことと存じ心からお慶びを申し上げます。
 昨年中は、組合事業推進に格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
 昨年は、日韓共催で初めて日本で開催された、ワールドカップでの各国選手の活躍が、多くの人々に感動を与えたことは、今でも記憶に新しい数少ない明るい話題の一つでありました。一方、経済環境は、最終車両がようやく長いトンネルを抜けたと思ったら、また先頭車両がトンネルに入ったと喩えられるくらい、長く厳しい状況が続いております。
 取分け北海道を取り巻く経済環境は、道民の翼として華々しく飛び立ったエア・ドゥの破綻、本道の開拓の象徴であったサッポロビールの札幌工場閉鎖の発表、82年の歴史を持つ国内最後の坑内堀炭鉱であった太平洋炭鉱の閉山等、世間を驚かせるような事象が沸騰し、より一層厳しいものがありました。
 印刷業界では、主要原材料である用紙の値上げが大手製紙メーカー各社より打ち出され、低迷する経済情勢に加え、電子メディアとの競合という新たな局面から印刷料金は下降の一途を強いられ、時には破壊的な市場競争を生み出す状況下では、ユーザーへの価格転嫁、自助努力によるコスト吸収は限りなく不可能であるため、北印工組はもとより全印工連、日印産連等を含めた業界全体を挙げて反対運動を展開しております。
 このように過去に例を見ないような長く厳しい環境にありましたが、皆様のたゆまぬ経営努力により、企業の維持・発展が図られ、新しい年を迎えられましたことはご同慶に堪えません。
 昨年8月には、3年振りに第26回北海道印刷業者大会を釧根支部の主管で釧路市を中心に開催し、釧根支部組合員の皆様はじめ全道各地から参加された多くの組合員と関連業界の皆様のご協力により盛会裡に終了し、大きな成果を収めることができました。改めて業界組織の強さと、協調性の豊かさを確認することができたのではないかと思います。
 さらに、これまで明確な基準が無かったDTP作業について全印工連が研究を重ねて来た積算フォーマットが昨年完成し、「2005計画デジタル積算体系セミナー」において、その成果を発表しております。北海道でもこのセミナーを3支部で開催する計画を立て、既に十勝・旭川支部での開催が終了し、大きな反響を得ております。最後は1月に札幌支部で開催されますので全印刷産業人が等しくスタート台に乗れるよう多くの方々が研鑚を積まれることをお願いしたいと思います。
 本年は、金融再生プログラムのスタートにより厳しさが一層増すことが予測されますが、反面、中小企業に対する手厚い金融政策が考慮され、来年には景気が回復するというシナリオが描かれているようですので、今年を正念場として景気の明るい先行きに期待を持ちたいものです。
 北印工組は、本年も、組織の拡大、広報活動の強化、明日に向かって「魅力ある業界づくり運動」の展開、「印刷の月」行事の取り組み、共済制度への参加促進、財政状況の検討の6つを事業の柱として、組合員企業各位が21世紀のグローバル化とITに対応し、時代の流れに着実に即応し、事業を拡大し、企業の存続発展のため諸事業を積極的に推進して参ります。
 厳しい苦しい時代こそ、自由経済の基本を理解しながら、同業の誼として、太古に聖徳太子が定めた「十七条憲法」の第一条「一に曰く、和をもって貴しとし、忤うことなきを宗とせよ。……。」の、和を大事にして、相手の立場を理解し、論じ合えば必ず物事は解決していくという、この崇高な精神を現在でも企業活動の基本として、皆が捉えると無闇な競争が生まれないのではと新年に当り改めて思いました。
 最後になりましたが、関係諸官庁、各機関、団体をはじめ関連業界の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、新しい年が皆様にとりまして佳い年になりますことをご祈念申し上げ、年頭のごあいさつといたします。