断固反対の姿勢明確に
印刷用紙値上げで全国紙に意見広告
 印刷用紙価格の値上げ問題で、全印工連は、ジャグラ、GCJなど5団体の連名で10月3日付の日本経済新聞と日経産業新聞に5段通しの「意見広告」を出した。その意見広告では、用紙価格一斉値上げに断固反対の姿勢を見せるとともに、両者で"話し合いのテーブル"を設けようとの提案も行っている。また、その一方で日印産連に対しても印刷業界全体の問題として、早急の対応を求める要望書を提出した。この用紙価格の値上げ問題では、全印工連は9月に入り、製紙メーカー7社への意見・質問書の送付、公正取引委員会への調査依頼、そして、今回の一般紙への意見広告と日印産連への要望など早急に行動を起こしている。

 全印工連は、今回の印刷用紙値上げに対して、9月14日、値上げを発表した日本製紙、大昭和製紙、王子製紙、大王製紙、三菱製紙、中越パルプ工業、北越製紙の主要製紙メーカー7社に対して、(1)値上げの理由と根拠、(2)エンドユーザーに理解の得られる説明と対外報知、(3)将来的な価格政策と価格安定化へ向けた施策ならびに製造・供給責任に対する「意見・質問書」を送付した。
 また、9月25日には、公正取引委員会に対し、製紙メーカー7社の印刷情報用紙生産量は平成13年度で全体の8割以上を占めており、今回の値上げは「不当な取引制限の禁止」に抵触する可能性があるとし現状説明をし調査依頼を行った。
 さらに、9月26日には、日印産連に対して今回の値上げ問題で印刷業界全体の問題として早急に行動を求める文書を提出し、印刷業界として一刻も早い適切な対応を図るよう要望した。
 つづいて、10月3日には、全日本印刷工業組合連合会、東京都印刷工業組合、(社)日本グラフィックサービス工業会、日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会、日本複写産業協同組合連合会の5団体連名で日本経済新聞(朝刊全国版)、日経産業新聞(全国版)に意見広告を出した。
 この意見広告の中で、(1)なぜ、デフレの時代にメーカーは値上げをするのか、(2)なぜ、この値上げがメーカー一斉なのか、(3)なぜ、いつも一方的通告で値上げするのか、(4)なぜ、一般の顧客への影響を考えないのか──と疑問をなげかける一方、(5)製紙業界と印刷業界で話し合いのテーブルを作ろう、(6)業界双方の相互理解で社会的役割を果たそうとの提案も行っている。

〔10月3日付日本経済新聞・日経産業新聞に掲載した意見広告〕
 
北海道印刷工業組合では、今回の印刷用紙価格の値上げ問題に対して、10月29日に開いた三役委員長会議で協議し、北海道洋紙代理店会、北海道洋紙同業会それぞれに対し、印刷用紙値上げに対して柔軟な対応をお願いすることとし、10月30日付で「印刷用紙価格の値上げに対する柔軟な対応のお願い」と題する文書を送付した。

〔北海道洋紙代理店会・北海道洋紙同業会へのお願い状〕
平成14年10月30日
北海道洋紙代理店会
会長 伊 藤 泰 明 様
北海道洋紙同業会
会長 藤 井 敬 一 様
北海道印刷工業組合
理事長  岸     洋
印刷用紙価格の値上げに対する柔軟な対応のお願い
 拝啓 時下ますますご清祥のことお慶び申し上げます。
 平素は、印刷業界に対しまして格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、現下の経済環境の中では、多くの企業が 大変な自助努力により経営の維持を図られていることと存じます。
 この厳しい環境下で、このたび、大手製紙メーカー各社の印刷用紙価格の一斉値上げが報じられ、北海道においても今後価格改訂が行われることが予測されます。
 ご高承のとおり、印刷業界では、低迷する経済情勢に加え、電子メディアとの競合という新たな局面から、印刷料金は下降の一途を強いられ、時には破壊的な市場競争をも生み出す状況にあり、その中で主材料である印刷用紙価格の値上げは、お客様への価格転嫁、自助努力によるコスト吸収などはとても不可能な環境にあり、企業の死活問題であります。
 つきましては、中小印刷業界の立場をより一層ご理解いただき、貴会会員の皆様に、このたびの印刷用紙価格の値上げに対して、柔軟な対応をいただきますよう特段のご高配を賜りたくよろしくお願い申し上げます。 
敬具