2002全日本印刷文化典仙台大会が
盛大に開催される
 「現在(いま)を刻み 未来(ゆめ)を彩る 印刷文化」をキャッチフレーズに、2002全日本印刷文化典仙台大会が10月4、5日、仙台市青葉区の江陽グランドホテルで全国から印刷産業人700人が参加して開催され、記念セミナー、記念式典、基調講演、全体会議・分科会、TOGAS2002、デザイングランプリTOHOKUなど多彩なイベントが行われた。式典では「印刷文化典宣言」を発表、新しい体質・経営戦略の確立により情報文化産業としてさらなる発展を期す決意を内外にアピールした。

 記念式典は、4日午後3時から行われた。
 主管した宮城県工組の鈴木洋一副理事長の開会のことばで始まり、国歌斉唱、物故者への黙祷、印刷産業人綱領を同工組の及川光雄常務理事の先導で唱和した。
 次に、開催工組を代表して今野敦之理事長が「広瀬川の清流と青葉山の木々も秋色づく美しい杜の都仙台で、全国の印刷工業組合の役員、組合員並びに多くのご来賓、関連業界の皆様をお迎えして、13年ぶりに印刷文化典を開催できますことを光栄に思います」と歓迎のあいさつを述べた。
 今野理事長は業界環境にふれ「デジタル化やIT革命は大きなうねりとなって押し寄せ、従来の延長線上での経営は成り立たなくなり、自助努力でこの難局を乗り切っていかなくてはならない。同時に、新しいビジネスモデルを模索し、経営構想を根本から建直し、新しい印刷企業体質、経営戦略を構築していく必要がある」と述べ、3年目に入った2005計画を強力に推進し、「この文化典および全国大会を通じて、さらに共創ネットワークを模索する機会にしていただきたい」と、仙台大会が印刷新時代を築く切っ掛けになることに期待を寄せた。
 また、今野理事長は「地方色溢れる多彩なイベントを準備、工夫を凝らしたつもり。東北の
文化や人情に触れていただければ幸い」と述べ、「この文化典が全国各地域の活性化に少しでも寄与し、印刷産業のイメージアップと業界の結束、工業組合の発展に貢献することを確信する」と力強く語った。
 次に、主催者を代表して全印工連の中村守利会長は「21世紀は2年目に入った。20世紀の人類の文化は印刷メディアが担ってきたが、21世紀に入ってインターネットが加わり、デジタルワールドが出現。印刷文化にIT革命が加わってきたということであり、新しい印刷文化を創るためにも、ニューメディアを取り込み領域を広げていかなくては成長はない」と、直面する課題の克服と新たな前進へ組合員の協調を呼びかけた。
 来賓紹介に続いて平沼赳夫経済産業大臣(代読)、浅野史郎宮城県知事、藤井黎仙台市長(代読)、藤田弘道日印産連会長が祝辞を述べた。
 浅野知事は「宮城県の経済は低迷しているが、これだけ大勢の方々が今宵、一人1万円を使っていただければ相当な経済効果が…」等など、歓楽街として名高い国分町の紹介を交えユーモアたっぷりにあいさつし、「いまは大変な時期だが、こういう時こそ発展がある。印刷は文化そのもの。この仙台大会が発展の契機となることを祈念したい」と述べた。
 また、藤田日印産連会長は「昭和53年から57年まで凸版印刷の東北事業部長として仙台に赴任した。この地で経営者としての原点を学んだ。」と前置きしてから「仙台大会では多彩な催事が企画され、様々な討議をされることは極めて有意義で印刷産業のイメージアップと地域の活性化に大いに役立つものと期待している」と述べた。
 表彰式に移り、印刷産業発達功労者として全印工連前副会長の井戸幹雄氏、印刷関連産業功労者として(株)ヤマトヤ商会会長の沼倉孝氏が顕彰された。続いて、組合功労者79名、優良従業員82名が表彰された。北海道からは、組合功労者として西山恒夫氏、花井秀勝氏、板野哲身氏の3氏、優良従業員として2名が栄えある表彰を受けた。受彰者を代表して、井戸幹雄氏が謝辞を述べた。
 つづいて、宮城県工組の藤井治夫常務理事が印刷文化典宣言を発表し、小泉智夫常務理事の閉会のことばで記念式典を終了した。

印刷文化典宣言
 我が国経済は、長期にわたるデフレ不況のもと、IT化の急速な進展とグローバル化による産業構造大変革の時代を迎えている。
 中小印刷業界においても、激変する市場環境への対応とともに、破壊的ともいえる価格競争の横行、さらには主要資材たる印刷用紙の値上げ問題など、山積する課題の克服が急務となっている。
 我々は本日、杜の都仙台市において「現在(いま)を刻み 未来(ゆめ)を彩る 印刷文化」のテーマのもとに結集し、企業倫理の再確認と業界秩序の再構築を誓い、「全印工連2005計画」を軸として経営構想を根本から建て直し、新しい印刷企業の体質・経営戦略を確立し、情報文化産業としてさらなる発展を期するものである。

 記念式典に先だって行われた記念セミナーでは、第1部で東北大学経済学部教授の大滝精一氏、カタツムリ社代表の加藤哲夫氏、特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター常務理事の紅邑晶子氏が「外部とのコラボレーションによって自社の風土と体質を変える−共創ネットワークの実践−」をテーマに、また、第2部で宮川ローラー(株)社長の宮川忠行氏、(株)ティ・ディ・シー社長の赤羽亮哉氏、江馬印刷(株)社長の江馬文成氏が「激変する環境変化にどう対応するか?量産型から付加価値重視型経営への移行」をテーマに、それぞれディスカッションをした。
 基調講演では、システムインテグレーション(株)社長の多喜義彦氏が「旧来型産業の業態革新」と題して講演を行った。