印刷燦燦
父の会社を引き継いで

室蘭支部副支部長
徳永 賢二
北海印刷株式会社代表取締役社長

 私が北海印刷に入社して20年が経ち、前社長(父)が亡くなって4年が経とうとしています。現在は私が父の後を継ぎ会社を経営しております。前社長から引き継いだ時のことをお話致します。
 父の病気は心臓が悪くなりバイパスの手術を受け成功したのですが、その後、肝臓が悪化し肝臓ガンで亡くなりました。その当時私は専務として会社を仕切っておりましたが、経営に関しては何も知識がなく、また、父からも教えてもらってはいない状態でした。そのような中、急に父の様態が悪化しガンを宣告されて1ヵ月ほどで亡くなってしまいました。その後が私にとっては大変な日々が続き、どう対処して行くかわからない事だらけで、途方に暮れる毎日でした。直ぐに代表取締役に就任し、組織変更、それと銀行の借入れの問題、資金繰りの問題、社員の問題、そして対外的な問題等、数々の問題や試練が待ち受けていました。その中でも社員の問題が一番大変だったことが思い出されます。その当時私の年齢は38歳で本当に社員から信頼されているのか?本当に自分はリーダーシップを取って会社を経営できるか?など、自分にも自信がなくなり疑問ばかりで悶々としていました。でも、私が会社を仕切っていかなければという気持ちと新たに社員に信用されるようがむしゃらに頑張ってきました。まず、最初に行ったことは組織を一から変え直し、ひとりひとりに面談をし、私の気持ちを伝え社員の気持ちを訊きながら、将来の夢を語りました。50人の社員がいたので、仕事の合間に面談をしていくと1週間もかかり大変だった事を思い出します。そのかいもあり、順調に会社を引き継ぐことができました。やはり、会社を経営して行くのは人であり、社員がいてこそ、成り立っていくのだなぁと実感しました。専務時代はただ、仕事を取ってさえいれば、会社は成り立っていくと思いながらやっていたのですが、仕事をこなし売り上げを確保しなければならないのは承知の通りですが、50人の生活を維持し、社員の幸せを考え人間として成長していきたいと思います。
 今、印刷業界もデジタル化が進み新しい試みなしでは経営が不可能な時代になってきました。最新鋭の機械だけがあって、ただの刷り屋だけではダメだと実感しています。今まさに、アイディアと行動力によって自社ブランドを作り上げなくてはならない時代になってきました。従来の待って印刷物の仕事を受注する時代ではなく、自ら創造し提案していかなければならないと実感しております。今、大都市圏ではあたりまえですが、室蘭の田舎では目新しいフリーペーパー(みてネッと)の発行を行いホームページとリンクした考えのものを発行したり、テレフォンシステムによる、テレフォン懸賞という懸賞チラシなど、独自のものを開発し仕事を楽しんでおります。大手のようには行きませんが、自分なりに考え自社ブランドを確立できるように頑張っております。まだまだ、若輩者で世間知らずですが、よろしくお願い致します。
 最後になりましたが、父が亡くなり、いろいろと私のために力を貸して頂いたメーカー様ならびに同業者の方々には大変感謝しております。ありがとうございました。