印刷燦燦
『様変わりした彼我の生存条件』

副理事長、労務・環境委員長、釧根支部長
藤田 卓也
藤田印刷株式会社代表取締役社長


 いよいよ第26回北海道印刷業者大会が迫ってきた。
 当番支部釧路・根室の組合員は全道各地からの同業者は勿論、来賓各位や関連業界の皆さんをウエルカムマインドで迎えるべく最後の追い込みに入っている。それにつけても前回函館大会から僅か3年しか過ぎていないのだが、この間の印刷・情報産業界の劇的変化はいやでもドッグイヤーであったと云って良い。更に我が北海道の政治経済環境の激変振りにも改めて唖然・呆然・愕然の思考停止状態が道民みなを襲っている。とりわけ21世紀に突入した昨年からの経営環境の変化に加え、世界は9月テロ以降も際限なく続く報復戦争の真っ只中だ。
 本年に入りあの“道民の翼”と表されたAIR DOが破綻したが、功罪の是非が問われること無くANAに吸収され、雪印もまた道民の意思とは関係なく解体されBSE問題はいまだ後遺症を抱えたまま農民を悩ませる。また道内いたるところで信金・信組の破綻は相次ぎ、ましてや昨年暮れから続く北海道バッシングや釧根選出代議士による政治的苦境とマスコミデバイスは今後も留まることを知らない。国家財政の破綻懸念さえ囁かれる中で、永田町や霞ヶ関では国の開発公共工事予算の1割を常に獲得してきた北海道でありながら、全国の5%に満たない道民人口で毎年毎年貪り続けることに警告を発し始めた。気が付いてみると米露協調路線が成立した10年前、北方防備や対ソ警戒防衛に特別の役割を果たしてきた北海道は、冷戦構造下の役目を終えその根底が揺らぎ出していたことをもっと道民みなが自覚すべきであった。
 勿論、北海道のインフラ基盤整備は今後も必要とされようが、今日、道都札幌を除く北海道各地域各市町村にまたがる最大の雇用産業は?と聞かれ、公務員・外郭団体・公社公団等自治体です。と答えるに至っては他府県他都市に口が裂けても胸を張って云える筈もないブラックユーモアとなってしまっている。本当に北海道は市場経済なのか?即ち破綻した55年体制下で、道民は与野党挙げて国家予算の分取りとその配分や分け前を前提とした北海道発展を展望してきた。そしてその冷戦構造下の思考こそが、こんにちの北海道を大きく脱皮・脱却させない要因を支え、16万人超の失業者を生み出さしているのだ。何と我が釧根では民間最大の雇用先が今や公共工事予算依存が18%にまで肥大した土木建設電気等となってしまった。これほどまでに票と政治献金と公共予算の割付という不可分の関係が道内各地を覆い尽くしている。
 さて、ここからが本題だ。我々はどのように生き残るのか?果たして今まで以上の政治力をもって中央からの予算獲得に励むのか?あるいはどのような雇用創出や雇用転換、産業・技術移転を果たすのか?市町村合併で生き残るのか?今まで以上に一次産品と自前ブランドを売り込み大都市圏や中国等大市場から懸命に外貨を獲得するのか?それとも当面は道外客やアジア各国客をもっと招き入れ観光産業誘発に全精力を傾注するのか?それとも自治体職員を大幅リストラしてPFI型サポート産業にシフトし直すのか?各地域各市町村の生存競争は益々厳しさを増してくる。印刷・情報産業も例外なくその荒波にさらわれる。何も宗男問題は釧根の「地域問題」だけなのではない。