印刷燦燦
責  任
副理事長、共済事業委員長
西山 恒夫
大輝印刷株式会社代表取締役社長

 経営がうまくいくかどうかということは、いろいろな事情があるにしても、結局は最高責任者である社長の責任だと思います。
 もちろん、社会情勢の影響などもあるのでしょうが、だいたいは、社長の責任において、方向性が決まると思います。社員が社長の意のままにならないと思われる場合でも、根気強く、誠意をもって説得すれば、必ず聞いてもらえます。とすれば、会社がうまくいかないということは、社長の意図するところに大きな欠陥があるからで、他人を責める前に、まず、自らを強く反省しなければならないと思っております。
 しかし、わかりきったことと言えばそれまでですが、経営者といえどもお互いに人間です。追いつめられれば、人間共通の弱さも出てきます。他人を責めることに急であったり、あるいは意地になって判断を誤ったりすることもあると思います。
 経営者として立つ以上、いかなる形においても、責任回避ということはできません。「会社は社会の公器」であり、そのことを社内に浸透させることだと思います。そして、一人ひとりの社員の仕事は、その人自身の責任といった意識が社内に生まれることです。自主性に基づく力強い仕事が進められることと思います。
 従業員が20人とか30人というところは、お互いの気持ちや動きがよくわかって、打てば響くすばやい動きができます。中小企業ほど人がその能力を十分発揮して働きますし、実際よく働いていると思います。いまの時代のIT化の中では、人間対人間のつきあいが滞り、仕事でも、生活でも、結局は心のよりどころが必要だと思います。
 昭和ヒト桁生まれの私では、IT化時代のいまでは私の経営の考え方は古いと思いますが、人間の能力は、いつも固定したものではないと思います。
 住友の総理事、伊庭貞剛氏のことば「事業の進歩に、最も害をなすものは、青年の過失ではなく、老人の跋扈である。」私もこの年齢に近くなりました。