年頭あいさつ

年頭にあたって

北海道知事 堀  達也

 平成14年の新春を迎え、謹んでごあいさつを申し上げます。
 昨年12月には、国民がひとしく待望しておりました内親王殿下の誕生という、新世紀の劈頭にふさわしく明るい未来を象徴する誠に喜ばしい日を迎えました。ここに、謹んで内親王殿下のお健やかなご成長をお祈りいたしますとともに、ご家族お揃いでご来道される日がまいりますことを心よりお待ち申し上げております。
 昨年を振り返りますと、米国で同時多発テロが発生し、世界経済が不透明感を増す一方で、国内では、「聖域なき構造改革」を掲げる小泉内閣の誕生、日本で初めて牛海綿状脳症(BSE)が確認されるなど、大きく揺れ動いた1年でした。
 また、本道では、地元合意が得られた新千歳空港の滑走路延長問題をはじめ、新千歳−上海などの新たな国際定期便の開設、有珠山の噴火災害以降、減少していた観光客の入り込みが回復基調に転じたほか、コンサドーレ札幌がJ1残留を決めるなど明るい話題もありましたが、長引く景気低迷の中で、完全失業率が拓銀の破綻直後の水準にまで悪化し、国の構造改革に伴う、さらなる「痛み」に対して、大きな不安が広がりました。
 こうした中、私は、地域の経済や雇用に及ぼす影響を最小限にとどめながら、国の改革を追い風にして、道独自の構造改革を加速するという考えのもとに、雇用のセーフティーネットの充実はもとより、分権時代にふさわしい行財政システムや自立と貢献に必要な社会資本の整備などについて、国に対して積極的に提案を行ってきました。
 今後、国の改革によって、公共投資の縮減や不良債権の処理が進めば、地域の経済や雇用はさらに深刻な状況に追い込まれることも懸念されます。私は、民間主導型の経済構造への転換を図る取り組みをこれまで以上に加速するとともに、雇用の維持と創出を道政の最重要課題と位置づけ、全力で取り組んでいかなければならないと考えています。
 BSEにつきましては、道内においても、その発生が確認され、現在、感染経路の解明に努めるとともに、生産から流通、消費にいたる三段構えの安全対策を講じ、道産食肉の安全確保と消費者の信頼回復に全力を挙げて取り組んでいます。道民の皆さんには、道の検査が厳格に行われており、安全な道産牛しか市場に出ない検査体制が整備されていることをご理解いただき、冷静に対応していただくようお願いいたします。
 また、今年は、世界最大のスポーツの祭典であるサッカー・ワールドカップや第6回DPI(障害者インターナショナル)世界会議など世界的な大会が道内で開催されます。世界各国から大勢の人々が本道を訪れ、様々なメディアを通じて海外に紹介される機会も多くなると思います。こうした意義のある大会をぜひ成功させるとともに、北海道の魅力を全世界に向けて発信していきたいと考えています。
 私は、これまで、北海道が持つ優位性や価値を見つめ直すことの大切さを訴えながら、独自の構造改革の推進に努めてきましたが、北海道の真価が問われ、ふるさと北海道に寄せる道民の皆さんの思いの強さが試されるのは、まさにこれからだと考えています。
 私は、いま、歴史の大きな転換点に立っていることを強く意識して、これまでの発展を支えてきた価値観や仕組みにとらわれず、北海道の可能性を最大限に発揮できる新たなパラダイムを創造し、地方分権の時代にふさわしい自主・自律の北海道を築くために、道民の皆さんとともに、挑戦を続けていく決意を新たにしています。
 新しい年が希望に満ちたより良い年でありますよう心からお祈り申し上げ、年頭のごあいさつとします。