印刷燦燦
「三足の草鞋」


常任理事・留萌支部長 原田 丈三
株式会社留萌新聞社代表取締役社長


 以前、この“印刷燦燦”で「二足の草鞋」というテーマで拙文を寄稿しました。2度目の時は、忙しさにかまけてゴーストライター(留萌支部の事務局)にお願いした経緯があります。今度で3度目です。
 何を題材にしようか? なんて迷うほどの含蓄は持ち合わせていませんが、手っ取り早く続編で「三足の草鞋」に挑戦してみたいと思います。
 実は、遡ること、平成11年の統一地方選挙におきまして、何を血迷ったか(本人は至って真面目でした)市議会議員選挙に立候補しました。幸いにして、24人中6位当選(定数22)を果たすことが出来ました。2年間の民生常任委員会を経て、現在は産業建設常任委員会に所属しています。
 そこで一つの疑問が生じます。「一体、何のための、誰のための市議会議員?」。先の「二足の草鞋」でも触れましたが、私の生業(なりわい)は新聞業と印刷業です。そして、職業柄、留萌支庁管内を代表する情報発信基地を自負しているわけであります。
 「権力、それとも名声? 一体、何が望みなの?」とは蔭の声でしょうか。実は、平成元年から、留萌商工会議所の議員にも名を連ねています。また、現在、NPO法人の取得を目指して準備を進めています留萌市文化団体協議会の会長も仰せ付かっています。
 誌面の都合上、意味のない公職の羅列は止めておきますが、これら公職については、古里留萌へのご恩返しとトップセールスの一環という意味合いを持たせているわけですが、市議会議員を目指した最大の理由は、「敵は本能寺」ならぬ、地域活性化への早道は、このマチにおける最高の意思決定機関であります「市議会を目指すしかない」という悲壮な結論に立ち至ったわけです。
 曲がりなりにも、留萌経済の末席を汚す中小企業経営者の一人でありますから、古里留萌の疲弊振りを見るに付け、「何とかしたい。何とかしなければ」の一種焦りにも似た思いが私を突き動かしたわけです。
 ご多分に漏れず、過疎と高齢化が悩みのタネであります。人口は既に3万人を割り込み、市としての要件であります5万人どころの話ではありません。ただし、合併特例法によりますと、「3万市特例」というのがありまして、市町村合併によって3万人をクリア出来れば取り敢えずは市として認知を受けるわけです。
 「海・夕日・ニシン漁」という歴史的にも共通した風土文化を持つ隣マチの増毛町と小平町との合併を議会の場で執拗に提唱しています。地方自治体のリストラにもつながる市町村合併ですから、行政においても、また、議会においても腰が重いのは否めない事実ですし、仮に、市町村合併をした場合、明日から「ただの人」になる可能性があるのも、消極的に成らざるを得ない理由の一つかも知れません。
 選択肢は、「するか、しないか」です。もちろん、経済界や市民をも巻き込んだ徹底した議論は必要ですが、時間的制約があるのもまた事実です。国の方針は、「2005年3月31日までに合併しなさい」というものです。期間限定の“アメとムチ”が用意されているという手回しの良さではありますが。
 合併の是非を含めて協議する場に法定の「合併協議会」というものがあります。結論を出すまでに3年は掛かる……と言われています。時間は、刻一刻と迫っています。「市会議員の皆さん。このマチの将来が掛かっているんですよ。即ち、貴方に一票を投じてくれた市民の明日の生活が掛かっているのです。せめて、議論ぐらいしてもバチが当たらないんじゃないですか」と声を大にして言いたい気持ちです。
 先行き不透明な、停滞と閉塞感に覆われたこの経済社会状況を取り敢えず打ち破るには、「市町村合併しかない!」と確信している一人です。もちろん、地域があっての我々の生業ですが、勇気を持って現状を打破しなければ、変革を受け入れなければ、何も変わらないどころか事態はますます悪くなる一方です。
 留萌支庁管内南部圏3市町の合併に望みを託し、履き慣れない「三足の草鞋」を取っ替え引っ替え履いたり脱いだり、地域経済の再生を願っている今日このごろです。

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