「我が社に限って…」と思っていませんか
職場のセクシュアルハラスメントを起こさないために
 セクシュアルハラスメントは、その対象となった女性労働者の個人としての尊厳を不当に傷つけ、能力発揮を妨げるとともに、企業にとっても職場秩序や業務の遂行を阻害し、社会的評価に影響を与える問題であり、社会的に許されない行為であることは言うまでもありません。
 男女雇用機会均等法第21条において、職場におけるセクシュアルハラスメントの防止のために事業主は雇用管理上必要な配慮をしなければならないと規定されており、事業主が配慮すべき事項については、厚生労働大臣の指針において定められています。
◇男女雇用機会均等法第21条
 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう雇用管理上必要な配慮をしなければならない。
◇セクシュアルハラスメントのない職場にするために事業主が雇用管理上配慮すべき事項(厚生労働大臣の指針)
 次の3項目は、業種や規模を問わずすべての事業主に義務づけられています。
 1)職場におけるセクシュアルハラスメントを許さないという事業主の方針の明確化と周知・啓発
 2)相談・苦情への対応のための窓口の明確化と、相談・苦情への適切かつ柔軟な対応
 3)職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた場合の、迅速かつ適切な対応

1 事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントに関する方針を明確化し、労働者に対してその周知・啓発をすることについて配慮しなければなりません。
●就業規則・労働協約等の書面で方針を明確化しましょう
 セクシュアルハラスメントを許さないという事業主の方針を、社内報等で1回取り上げただけでは、時間がたつにつれて印象が薄れてしまいかねません。  セクシュアルハラスメントを許さないことを社内ルールとして従業員に徹底させるためには、就業規則等への記載や労働協約の締結等書面 による明確化が効果的です。
 また、社内の従業員研修のプログラムにセクシュアルハラスメント防止に関する講習を組み込む等、定期的な啓発研修の実施にも努めましょう。
2 事業主は、(1)相談・苦情への対応のための窓口を明確にすること(2)相談・苦情に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応することについて配慮しなければなりません。
●相談・苦情窓口は実質的に相談しやすいかどうか点検しましょう
 「相談窓口は設けているが、一件も相談が寄せられない」という場合、社内でセクシュアルハラスメントが起きていないからではなく、相談しづらい窓口となっている可能性があります。必要に応じ女性労働者の意見も聞きながら、相談担当者、相談窓口の設置場所等について十分検討し、安心して相談できる窓口を工夫しましょう。
3 事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた場合において、(1)その事実に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること(2)その事案に適正に対処することについて配慮しなければなりません。
●事後の対応方法をあらかじめ定めておきましょう
 セクシュアルハラスメントが発生した場合には、迅速・適切に対応しなければなりません。放置したり、対応を誤ったりすれば問題がこじれるだけではなく、再び同様の問題を引き起こすことになりかねません。
 そのためには、問題が生じた場合の担当部署や対応の手順などを、あらかじめ明確に定めておく必要があります。